【EU】欧州議会、AIの軍事・非軍事使用で法的枠組み求める決議。ソーシャルスコアリングサービスにも懸念

EUの欧州議会は1月20日、AI(人工知能)技術の軍事使用と非軍事使用の双方で、AIの定義と倫理原則を含めた法的枠組みを整備すべきとの決議案を、賛成364、反対274、棄権52の賛成多数で可決した。欧州委員会とEU加盟国政府に対し、人間中心のAI関連技術活用を確保することを要求した。今後、欧州委員会としての検討に移る。

同決議は、軍事使用については、人権尊重の観点から、AIを人間の制御下に置くことを強く要求。特に、自律型致死兵器システム(LAWS)の使用は、人間の制御に関する基本的な倫理的および法的に問題があると述べている。欧州議会はかつてから、LAWSを禁止するEU戦略と「キラーロボット」の禁止を求める声明を繰り返し発表しており、欧州委員会とEU加盟国に対し、国連でのグローバルな枠組み作りを主導することも求めている。

政府サービスでのAI使用では、特に医療と司法では、差別防止を強く主張。市民に対し、AIに基づく決定の対象となるかを常に通知し、不服があれば上訴するオプションを提供する必要があるとした。医療では、個人情報保護や平等な治療の原則の徹底、司法ではAIは作業効率化用途に止め、裁判所決定は人間が行うべきとした。

また今回の決議では、ソーシャルスコアリングサービスが、大規模な市民監視につながる危険性があると言及。「ディープフェイク技術」についても大きな懸念を表明し、クリエイターに「オリジナルではない」ラベルの付与義務が必要との考えも盛り込んだ。

【参照ページ】Guidelines for military and non-military use of Artificial Intelligence

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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