【EU】EU理事会、国・法人・個人への人権制裁制度創設。テロリスト投稿コンテンツ削除法の制定も

EU上院の役割を果たす加盟国閣僚級のEU理事会は12月7日、人権侵害に関する対外経済制裁制度の導入を採択した。同様の制度はEUとして初。国家だけでなく、個人、企業、団体等を幅広く制裁対象として設定した。

今回の制度は、EU外務・安全保障政策上級代表からの発案で2019年12月にEU理事会も同意。2020年11月には、欧州委員会が策定した2024年までの人権アクションプランにEU理事会も同意しており、その中でEU域外に対する人権政策と、人権制裁制度を構築することを掲げていた。

人権制裁制度では、対象行為として、ジェノサイドや人道に対する罪に加え、拷問、奴隷行為(強制労働)、超法規的殺人、恣意的逮捕、恣意的拘留等を重大な人権侵害行為と定義し、制裁対象とした。他の行為でも、EU理事会が深刻と判断すれば制裁対象とすることができる。これにより、国権の発動による司法行為も対象となり、特に中国の新疆ウイグル自治区や香港での政府行為に対しても、人権制裁が発動できることとなった。

制裁の内容は、個人の渡航禁止や個人・機関の資産凍結。EU域内の個人や機関が、制裁対象に指定された対象に対し送金や決済、資産運用をすることも禁止される。

制裁発動では、加盟国もしくはEU外務・安全保障政策上級代表からの起案により、EU理事会で制裁対象の決定、レビュー、修正等を行う。

またEU理事会と欧州議会は12月10日、テロリストが投稿したコンテンツを1時間以内に削除することを命じることができるEU法を制定することで合意した。同法が制定されると、加盟国の当局が、テロリストが投稿したテキスト、動画、音声、写真等を指定し、SNS等を運営している企業に対し1時間以内に削除することを命ずることができるようになる。但し、教育目的や報道目的の場合は例外として許可する。

同テロリスト対策法については、インターネット企業に対し、自動監視・自動削除の義務化等も検討されていたが、最終的に見送られた。インターネット企業は、当局が命じた場合に削除義務を負う形となった。

【参照ページ】EU adopts a global human rights sanctions regime
【参照ページ】New tool to combat terrorism online agreed

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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