【国際】世界経済フォーラム、人材コンピテンシー分類「グローバル・タクソノミー」発表
世界経済フォーラム(WEF)は1月25日、今後の事業に必要な人材コンピテンシーを体系的に整理した分類法「グローバル・タクソノミー」を発表した。急速に変化する労働市場や人材開発に向け、スキルの再開発を提唱した。
今回の分類法は、WEFが2020年1月に発足したスキル開発イニシアチブ「リスキリング・レボリューション」が作成したもの。同イニシアチブは、2030年までに10億人により良い教育、スキル、雇用を提供することを目標としており、効果的に習得していくためのツールとして掲げた。体系整理では、ESCO(欧州における技能、コンピテンス、資格・学位、職業)と米国の職業情報ネットワーク(O*NET)が参照された。
グローバル・タクソノミーは、コンピテンシーを「スキル・ナレッジ」「姿勢」「能力」の3つに分解(レベル1)。さらに各々の要素をレベル5にまで細分化し、就業に必要なコンピテンシーを分類した。
さらにWEFは同日、スキル再開発(アップスキル)を目指すべき背景を説明したレポート「Upskilling for Shared Prosperity」も公表。アップスキルにより、雇用とGDPを押し上げる効果があり、失業対策としてもアップスキルを重視するよう伝えた。
但し同レポートでは、アップスキルで、米国、中国、インド等では著しい経済効果が期待できるものの、日本についてはGDPの上昇は見込めるものの、雇用創出効果は限定的との見方を示した。理由は、すでに日本の就業構造は、労働力の11%がビジネスサービス業におり、アップスキルは雇用創出ではなく、ビジネスサービス業でのスキル構造転換を意味するとした。すなわち日本では、いわゆるホワイトカラーの質転換が求められていることになる。
WEFとしての雇用関連プログラムでは、「リスキリング・レボリューション」を通じて、5,000万人に新たなスキル開発の機会を提供すると発表。発展途上国各国で展開している「Closing the Skills Gap」では10ヶ国で新たにプログラムが立ち上がり、支援対象者が4,700万人に増加。2021年にも新たに6ヶ国でプログラムが立ち上がる予定。業種単位でのスキル開発プログラム「Preparing for the Future of Work」では、約800万人に未来に必要となるスキル開発の機会を提供した。
【参照ページ】Building a Common Language for Skills at Work A Global Taxonomy
【参照ページ】Upskilling for Shared Prosperity
【参照ページ】World Leaders Urge Mindset Change to Build Trust, Foster Collective Action in the Year Ahead