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【SDGsインタビュー】自分にも地球にも優しい暮らしを、コスメから考えるサスティナブルな選択とは

世界では毎年約10億本のリップスティックが廃棄されていると言われています。女性にとってコスメは心を踊らせ、日常を彩るものであり、生涯を通して付き合っていくものです。そんなコスメだからこそ、今一度コスメとのサスティナブルな付き合い方をじっくりと考えたいところ。

今回のSDGs UNITEDインタビューでは“自分にも地球にも優しいコスメ”を表彰する“サスティナブルコスメアワード”をエコマーク事務局と共同開催した、ソーシャルアクティビストチーム“MOTHER EARTH”メンバーの岸紅子さんに開催の経緯とこれからのコスメとの向き合い方についてお話を伺ってきました。

岸紅子さんプロフィール:
NPO法人日本ホリスティックビューティ協会 代表理事。学生時代から雑誌モデルやライターとして活動し、大学卒業後美容マーケティング会社を起業。美容雑誌のコンセプターとなり表紙を飾るが、ストレス性喘息と子宮内膜症を発症。ホリスティックライフを実践し、健康を取り戻す。2006年よりNPO法人日本ホリスティックビューティ協会発足。2010年よりホリスティックビューティ検定開始。全国に心身の健康を育む知恵を広げている。環境省つなげよう、支えよう森里川海プロジェクトアンバサダー。

<MOTHER EART×エコマーク事務局初コラボ>

福永:本日はよろしくお願いします。まず、エコマーク事務局とのコラボレーションで“サスティナブルコスメアワード”を開催するに至った経緯について教えてください。

岸紅子(以下、岸):環境省の「つなげよう支えよう森里川海プロジェクト」のアンバサダーとして色々と活動している中で、二年前にたまたま「そういえばエコマークって今どうなっているの?」という話を会議の中でチーム長の中井さん(環境省総合環境政策統括官)にしたことが全ての始まりです。エコマークは日本の中で最も信頼されている環境基準なのに家電や家具など大きい買い物をしない限りお目にかからないという感じがしていて。

「エコマークの方にお話聞けますか?」と中井さんに聞いてみたところ、エコマーク事務局の方が会議に来てくださることになって今のエコマークの現状を共有してくださったんですね。エコマークがついている製品の数は増えているが、日用品や英製品には少ない。エコマークの認知度は高いが、購入の判断材料にまでは至りにくい、と。

だったらマザーアースとエコマークがコラボすることによって今までのエコマークの枠内ではできにくかった消費財ジャンルの中でエコ的な考えを持った製品をアワードするっていうのはできるんじゃないか、という話になったんですね。

写真:一ヶ月に一回、環境省つなげよう支えよう森里川海アンバサダーが集まる“マザーアースミーティング”が行われる

福永:そこからどうやってコラボをするのかという話が始まったんですね。

岸:エコマーク事務局にお邪魔して、エコマークの勉強をさせてもらってそこからできることは何だろうと考え始めました。去年の夏くらいにアワードの基準作りが始まりました。

基準の中でも何に照準を合わせるのかなど考えたときにやっぱりSDGsがいいと思ったのでSDGsを彷彿とさせるロゴマークをタロアウトさんに作ってもらいました。今年の夏に公募が始まり、エントリーが集まり、ノミネートができて、というのが今年の秋ですね。

写真:キャラクターデザイナータロアウト氏が制作したサステナブルコスメアワードのロゴ

福永:サスティナブルコスメアワードへの紅子さんの想いはどのようなものだったのでしょうか?

岸:私のフィールドはウェルネスやビューティーなのですが、従来の美容業界ってめちゃくちゃケミカルでハイテクな世界なんですね。かつて20代の時はケミカルコスメの会社さんにすごくお世話になって、私自身も記事を書いたりタイアップの広告に出たり、さんざんやってきました。

ただ、自分が病気をしたりとか、子供が生まれたりとかするうちにどんどんナチュラルなものに移行していって気づいたんです。「コスメ=ケミカル」というわけではないよねと。

次第にオーガニックコスメメーカーの皆さんとたくさん知り合って、彼らが「次世代のためにGreenな地球を残していきたい」という熱い思いを持っていらっしゃることを知りました。畑づくりからコスメを作っている、そういう姿を見てそこに光をあてることが私の立場だったらできる、と思ったのです。

福永:アワードで対象にする商材はいくつも考えられる中で、コスメに注目した理由はどのようなものだったのでしょうか?

岸:マザーアースとエコマークのコラボレーションアワードとして何からスタートしようかと考えた時に、身近で誰もが毎日使うものが良い、それならばボディケアやヘアケアも含めたコスメの領域が一番やりやすいんじゃないかと。コスメだったら私の担当だよねということになって(笑)、アワードの基準作りは私が担当しました。

福永:確かにコスメ業界では最近オーガニックブームが起きていますよね。

岸:「オーガニック」をうたったコスメが年々多くなっていることは確かです。しかし、一方では玉石混交で、ほんの少ししかオーガニック原料を使っていないものからほぼオーガニック原料のものまで様々。消費者の目利き力がないと、見分けるのは難しいかもしれません。でも、そこには大きな違いがあります。

私が代表を務めているホリスティックビューティー協会では「人生で初めて使うコスメをオーガニックに」を推進しています。初めから本物に触れることで、五感を通じてその非言語的な良さを感性で受け取れるからです。もちろん、大人の肌にもオーガニックはパワフルだし、優しいし、エコだし、心まで癒してくれます。

ケミカルにはケミカルのよさがあるけれどもオーガニックコスメには香りや微量物質など、植物全体の情報が含まれています。それら全体性こそが、人体という全体性に働きかけます。その実感はオーガニックコスメを使っている人はわかるけれど、使っていない人にはわからないですよね。

写真:サステナブルコスメアワード最優秀賞を受賞したオーガニックコスメブランドNEMOHAMO

福永:そもそもケミカルなコスメしか使っていないとオーガニックコスメとの比較もできないですよね。

岸:そうそう、なのでサスティナブルコスメアワードがオーガニックコスメを使うきっかけみたいなものになったらいいなって思っています。オーガニックコスメを使うとスキンケアがすごく素敵な時間になるんですね。肌や体だけではなく、心に働きかける力があります。なので心底気持ちいなと思うのはやっぱりオーガニックなんですよ。

福永:紅子さんがオーガニックコスメの良さに気がついたのは病気の経験やご自身の体調変化がきっかけだったとおっしゃっていましたが、オーガニックコスメに切り替えたときにどのようなところに心地よさを感じましたか?

岸:昔からニールズヤードやジュリークをよく使っていたんですけど、ラベンダー水を初めて使った時にふわっと、まるでお花畑にいる気分になったりとか、カレンデュラクリームがお肌をすっと鎮静して癒されるのを感じました。

植物のパワーと自然の香りが深呼吸を促して心がホッとする、この感覚は現代に必要な癒しです。娘にも華蜜恋の入浴剤やクリームは0歳の時から使っています。

福永:現在オーガニックコスメを使用しているとのことなのですが、紅子さんが今ケミカルなものに戻ったとすると何か違和感を感じたりするのでしょうか?

岸:ものによりますが、香りは歴然と違いを感じるでしょうね。あとは、例えば洗顔料やクリームなど乳化するものには石油由来の界面活性剤が入っていることが多いんですけど、それで洗うと洗浄力が強くてスッキリするけど肌がすごく乾燥してしまいます。肌自体の持っている体力が落ちてくる感じもありますね。

写真:岸紅子さんが代表を務めるホリスティックビューティー協会のセミナーの様子

福永:コスメはあまり環境負荷の面で取り上げられているイメージがないのですが、実際のところコスメが及ぼす環境負荷とはどのようなものなのでしょうか?

岸:従来のコスメっていわゆる石油ベースで石油産業の中の一端を担っていて、化学薬品と同じジャンルなんですよ。石油を精製する過程で出るナフサというものから作られるものが多いのですが、コンビナートの一角で安く大量にできます。

界面活性剤という油と水を混ぜ合わせる成分は多くのケミカルコスメに欠かせない成分ですが、ほぼ全てが石油由来。それを使って、洗剤やボディソープ、乳液やクリームなどを安価に作ることができます。

また、配合されている油や美容成分も化学的な合成をしたり抽出を経たりしているものが多いので、自然に分解しにくいものです。中にはマイクロビーズが入っているものもあります。

福永:まずコスメの素材自体がケミカルである、と。コスメの廃棄の実態について教えていただけますか?

岸:廃棄もたくさん出ます。通常コスメは常温未開封で3年の品質保持を義務付けられていますが、使用期限半年前になってしまったら店頭からは下げられ廃棄されています。加えて、廃棄物のかなりの部分にパッケージなどプラスチックを使っているからそれは大きく環境に負荷になりますよね。

福永:コスメの廃棄リスクというものは10年前と比べて改善している、もしくは悪化しているなどの変化はありますか?

岸:大手はそのような廃棄削減努力をしていると思いますが、化粧品業界は産業障壁が少なく無責任な物作りをしている業者があるのも実態です。そういうところは容器も石油から作られた安いものが使われています。

また、サイクルも早くてしズーズンごとに商品を入れ替えたりパッケージを変えて目新しさを演出しているので、その陰で大量の廃棄が行われます。まだまだ環境負荷を減らすための改善の余地があります。

確かに微生物によって分解される生分解性のプラスチックを使えば容器はエコロジカルなものになりますが、生分解性のプラスチックの不安定性やコスト高をリスクとして取れないところも多い。なので、詰め替え容器にしたり、ガラスにしたり、プラの中でも再生プラスチックを使うようにしたりとか。

こういった努力をしているメーカーは出てきています。容器にまで配慮しているのは、やはりオーガニック系の化粧品会社が多いですね。だんだんとオーガニックコスメメーカーからサステナブルなパッケージへのチャレンジが広がっていくことを期待しています。

福永:生産者側での変化がある一方で、消費者サイドで何か意識的なところで変化はあるのでしょうか?

岸:この10年で販路が広がって消費者にとってオーガニックコスメを目にする機会は増えていますし、多くのインフルエンサーの人たちがその良さを伝えてくれているので徐々に拡大してきはいると思いますが、全然まだまだですね。

ただ厳しい現状があって、オーガニックコスメは原価率が非常に高い。とはいえ、売値を高くすると今度は商品が売れなくなってしまうというジレンマを抱えています。ファストなコスメに流されてしまっている人たちにとっては安いものが当たり前なのでオーガニックコスメメーカーにとってはハードルが高いですよね。

ですから、オーガニックの良さを理解した上で「オーガニックコスメはある程度高くて仕方ないよね。むしろそういう物作りを支持して買うことで環境支援になれれば」と思ってくれる消費者が増えてくれればいいなと思います。地球に住む一員としての身近なSDGs参加だと思います。

写真:毎年多くの女性が岸紅子さんの開催するイベントに足を運び美について学ぶ。その繋がりやコミュニティーは年々広がっている

福永:消費者が求めていかないと現状は変わっていかないですよね。

岸:まだまだ日本の消費者のリテラシーは低いですよね。でも、日本はそれなりの先進国で国際市場へのインパクトも一応はある国なので、この国がサステナブルに変われば、国際貢献度は高いと思います。

本来は自然を大切にして暮らす感性を持っている国だし、高い道徳心もあります。その選択ひとつひとつが未来への投資だとちゃんと理解できたら、消費選択は変わっていく気がします。

福永:日本の消費者は世界一品質に厳しいと言われていますが、それでもリテラシーが低い、と。

岸:それは見た目に対して厳しいということで、大きさが揃っているとか、角が揃って綺麗とか、いつまでも腐らないとか。そういうことに対してはすごくうるさい。でもそれは“科学の力”を借りないと実現できないんですね。

福永:自分たちが商品に対して何かを求める代わりに、何を代償として払っているのか意識ができていない、と。品質とは何か、今一度振り返りたいところですね。一人一人がきちんと知識を得て実際に使ってみて、いくつかの選択肢を持った上で自分は何を選ぶのかということが求められてきますよね。

岸:選択肢を持った上で「私はこの商品はケミカルを選びます」というのであればそれでもいいと思います。でも、その他の選択肢を知らないまま、知ろうともしないというのはどうなのかなと。「買い物は投票」と私も言い続けていきたいと思います。

福永:最後に、岸紅子さんにとってコスメとはどのようなものなのでしょうか?これからのコスメとの向き合い方へのアドバイスをお願いします。

岸:ここまでコスメを熱く語ってきましたが、実は私はコスメがスキンケアの中で果たす役割は3割だと思っています。あとの7割はコスメの“使い方”だと思っていて、その7割をどう活かすかはその人次第なんです。使い方次第でなんと保湿時間が8時間くらい延長される、という実験結果もあるんです。

私はスキンケアは瞑想であり、ヒーリングアートだと思っています。自然の力を使って五感を解きほぐしながら自分に触れる行為は、脳内のオキシトシンという愛情ホルモンを分泌させ、ストレスを軽減したり血液循環を良くしたり、眠りを深くしたり、様々な波及効果をもたらします。

さらに、スキンケア中にイメージングを使って内観(自分の想いに気づく)だったり、セルフヒーリングをすることもできる。ホリスティックビューティ協会でそれをオリジナルメソッドとしてご紹介しています。そんな風に五感で味わって使いたいからこそ、やはりコスメはオーガニックが良いなと思っています。

福永:コスメの使い方を意識するスキンケアタイムと向き合うと、コスメ自体との向き合い方も変わってきそうですね!本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。

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Author

福永夏輝

SDGs United 事務局
福永夏輝(Natsuki Fukunaga)

立教大学大学院MIB(Master of International Business)卒、"持続可能な発展"をテーマにスウェーデンに1年間留学した後、地元埼玉県で"インバウンド観光と地域ブランド"をテーマに活動を行う。その活動の一環で埼玉県小川町と出会い、現一般社団法人the Organicインターン生として奮闘中。