【SDGs インタビュー】(前編) “you are what you eat”室谷真由美さんのVegan Story

“身近なものからSDGsについて考える”きっかけを作る”SDGs インタビュー”

ここ最近”ビーガン・ベジタリアン”という言葉を身近な人から聞く機会が増えたと感じる人は多いのではないでしょうか?ビーガン・ベジタリアンと言っても単に動物性の食べ物にアレルギーがあるから食べられないという理由だけではなく、健康面を考えてビーガンライフを始める方もいれば、環境保護や動物愛護の観点からビーガン・ベジタリアンライフへと進む人もいます。

食の多様性が広がる昨今、ビーガン・ベジタリアンへと進む人は何がきっかけでその道へ進み、なぜその道を選ぶのか?今回はビーガン・マクロビオティックの魅力を多くの方に伝え続けてきたビューティーフード協会代表の室谷真由美さんにご自身の“ビーガンストーリー”を語っていただきました。

■プロフィール:室谷真由美。 モデル・ビューティーフード協会 代表理事。カラダの中からキレイになれる食を追求し、 「ビューティーフード」メソッドを提唱。 講演会・トークショー・TV・ラジオ・雑誌など各種メディア出演をし、食の大切さを発信している。 ヴィーガンメニュー監修や飲食店プロデュースなども行う。 また、オーガニック・ヴィーガン店を全国~海外規模で開拓し、2180店舗以上食べ歩いたレポをブログやSNSにて紹介中。 ビューティーフード協会を設立し、ヴィーガンやグルテンフリーの資格講座を開講。 美容専門学校にてビューティーフードが特別必須科目として新設され毎年700名の生徒に授業を行なっている。

【SDGs インタビュー(前編):不調の原因は全て”食”にある、食の大切さに気付かされたマクロビオティックとの運命の出会い】

1.Veganへの入り口

夏輝:本日はよろしくお願いいたします。真由美さんはお米や野菜などの植物素材だけを食べるVegan Lifeを10年間続けていらっしゃると伺っているのですが、そのきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

真由美:私はもう20年くらい前からモデルをやっているのですが、10年くらい前に「乳がん・子宮をなくしていきましょう」というピンクリボン運動のイメージモデルの仕事をする機会があったんですね。女性の健康やライフスタイルを考えた情報発信というのがテーマで、私から世の女性の皆さんにどういう話をしようかなと考えた時に、じゃあ私は食事からアプローチしていこうと。

ただ、情報を発信する側として何か資格を持っていないと説得力がないなと思い、食に関する資格を探したときにマクロビオティックという資格講座に出会ったのが大きなきっかけです。その講座で1番最初に教えてもらった「あなたの体はあなたが毎日食べているものでしかできてないですよ」という言葉に、すごく衝撃を受けてしまって。当時36歳だったのですが、36歳にもなってそんな当たり前のことに気付いてなかったと。

夏輝:言われてみれば当たり前のことですが、普段の生活の中でそのことを意識するってあまりないですよね。

真由美:その当時、ひどい食生活しかしていなかったんですよね。高校生の時は炭水化物抜きダイエットをしていて「白いものは太る」と言ってご飯を全く食べませんでした。パンは大好き、お菓子も大好き。目的は痩せることだったからカロリーさえ抑えられればいいやー、と。そんな生活をしているうちに高校生の時に生理が止まったんですね。

夏輝:え!!!今さらっとすごいことをおっしゃいましたが、生理が止まってしまったんですか?

真由美:そうなんです。ただ、元々不順だったのであんまり危機感はありませんでした。楽だからいいじゃんくらい。あと、自分の体への関心もなかったですね。その当時は生理が止まったことに加えて、冷え性・花粉症・便秘はもちろん、髪の毛もパサパサで針金みたい、艶の”ツ”の字もないくらい。あとは肌荒れもひどいし、偏頭痛、コレステロール値も異常で血液がドロドロ。でも、自覚症状は全くなかったですね。病院に行ってお医者さんが私のコレストロール値を見て「あなた血管詰まって死ぬよ」と言われても「私なんてことないし」と全く気にしませんでした。

夏輝:若い時ってそこまで自分の健康に気を遣わないですもんね。言われても大丈夫だと思ってしまいがちですよね。

真由美:20歳くらいのときには摂食障害になりました。短大だったので20歳で就職して6年くらい建設業界の一般企業で働いていたのですがその時に接触障害になってしまって。当時バブルが起こって、第二次ベビーブームと呼ばれる時代で、私が就職した時は5年ぶりの新入社員入りましたという状態でした。会社の人に可愛がってもらってはいたんですけど、私の後誰も入ってこないのでずっと下っ端のままでお茶を出したり。学校皆勤賞をとるような人間だったので、毎日真面目に会社には通っていたのですが「この仕事、私じゃなくてもできるじゃん」と思い始めて「もっと認めてもらいたい、室谷さんと一緒に仕事をしたい」と言ってもらえる環境ってないのかなと考えるようになりました。そんな時に友達から「モデルやってみたら?」とアドバイスをもらい、モデルの道に進むことを決意して福井から上京してきました。

写真:モデルをはじめとしてテレビや雑誌、講演メニュー開発など幅広い分野で食の大切さを発信している

夏輝:真由美さんは生粋の東京育ち、シティーガールだと思っていました。真由美さんはどのように摂食障害から立ち直ることができたのでしょうか?

真由美:私の場合はモデルという自分の生きがい、やりたいことを見つけた時に気がついていたら治っていました。でも東京に出てきてからも相変わらずお菓子大好きだし、東京に来てから毎年花粉症にかかるようになりました。舞台のお仕事もやっていたのですが、その舞台の本番中に急に声が出なくなるという恐ろしいことが起きてしまったり、27歳の時には動悸息切れで階段も登れないなんてこともあったり。首の後ろが痛くて、悩んだり考えていたりすると頭がすごく痛くなるなんてことも多々ありました。

「これなんだろう」と思って病院に行ったら自律神経失調症と診断されて、すごくびっくりしましたね。お医者さんに「あなた環境変えられますか?環境を変えないと何も変えられませんよ」と。(私の場合は症状名を聞いて安心して治ってしまったんですけどね(笑))

夏輝:症状名を聞いただけで治ってしまうなんで、さすが真由美さんです(笑)モデルという職業柄も相まって食事制限だったり、その反動でたくさん食べてしまったり。

真由美:でも今だからわかることだけど、全部食事が原因だった。「太りたくないという恐怖」から罪悪感を持って食べていたんですよね。「私たちの体は私たちが食べたものから出来ている」、こんな当たり前な自然の摂理を全然わかっていませんでした。

でも今はマクロビオティック・ビーガンに出会って太らない食事をしています。体にいいものしか使っていないので甘いものをどんなにたくさん食べてもギルトフリーです。添加物などが入っている変なものを食べていると吐くことはあるけど、作ってくださる方の想いとか愛情がこもっているものを食べて吐くということは起きないと思うんですよね。

写真:真由美さんが開催するビューティーフード・グルテンフリースィーツ講座のスイーツ

夏輝:マクロビオティック・ビーガンとの出会いはまさに真由美さんの人生の転換点となったのですね。

 真由美:はい、その通りです。36歳の時にピンクリボン運動のイメージモデルを務めることをきっかけにマクロビオティックの講座に通い始めたとお話ししたのですが、そのマクロビオティックの講座で食べた人生初の玄米がびっくりするくらい本当に美味しくて。

夏輝:玄米人生初だったんですね!

真由美:その玄米がもっちりふわふわで本当に美味しかったんですよね。太りたくなかったからご飯を食べていなかったけど、玄米だと食べても太らないわけですよ。なんで学校では教えてくれないんでしょうね(笑)

夏輝:私の中では玄米は硬くてパサパサというネガティブなイメージがあったのですが、実際のところ玄米は「とっても美味しくて体にいい」と。

真由美:はい、なのでそのことに気がついたその日のうちに全部かえました。あとは自分で”玄米菜食”を実践するのみだと思って。添加物の入った調味料も全部捨てましたし、座学だけではなくマクロビオティックの先生のサロンに2年間ほど通って自分で実際に料理もしました。

夏輝:マクロビオティックの道にどんどんハマっていってしまったわけですね。ちなみにマクロビオティックを初めてどのくらいで効果が出始めましたか?

真由美:マクロビオティックを始めて2週間後にまず血液検査をしてみました。コレステロール値は100-200の間が正常値で、220以上あったらまずい状態なんですね。そんな私は380以上あったんですよ。薬飲んで下げなければいけない状態だったのですが、薬を飲んでも全然下がらなくて。でも、食べるものを変えたらストンとコレストロール値が200くらいに落ちて「食べ物でこんなに顕著に体が変わるんだ!」と痛感しました。

夏輝:コレステロール値って2週間でそんなに下がるものなんですか!?他にはどのような効果があったのでしょうか?

真由美:私の場合はマクロビオティックに切り替えた翌朝から変化が現れました。お腹いっぱい食べても太らないし、消化に負担がかからないのでエネルギーが節約されて元気でいられる。私の平熱はがん細胞が増殖しやすい35.4くらいの体温でいつ病気になってもおかしくない状態だったのが、マクロビオティックを始めて半年くらいで平熱36.8℃くらいになりました。ニキビも一切できなくなって、髪の艶が戻りました。あと、毎年薬を飲むほどひどい花粉症に悩まされていたのですがその次の年からは花粉症にもならずと、本当にいいことばっかりですね。

夏輝:そんなに良いことづくしだなんて!!!もっと多くの人に知ってほしいですね。特に日本では毎年春になると花粉に悩まされる方がたくさんいらっしゃるので。

真由美:体の中に溜まっていた悪いものが全て出されて体調がすごくいいというのが、まずマクロビオティックの魅力の一つ。あとは単純に食べていて美味しい。新しいジャンルだから新しい発見の連続でとっても面白くてたまらない。マクロビにどハマりしていたのでランチなどのお店もマクロビのお店を探すようになったのですが、10年前って全然情報がないわけですよ。食べログ・ぐるなびで探そうと思っても“マクロビ”や”ビーガン”というカテゴリーがそもそもありません。

夏輝:そんな中どのようにビーガンやマクロビのお店を探し出したんですか?

真由美:例えば、渋谷に行くなら、「渋谷・玄米・マクロビオティック」。その当時はまだ日本にはビーガンという言葉がなかったのでビーガンの代わりにベジ・オーガニックとかキーワードを入れて探していましたね。ただ、個人でやっているカフェみたいなところが多くて行っても閉まっていることが多々ありました。その時「あ、ちゃんと行く前に電話して予約しなきゃいけないんだ」ということを学びましたね笑

その当時はフェイスブックやインスタグラムのようなSNSもなかったのでその代わりにブログに一旦私が行ったお店を日記のようにつけていました。お店に通って記録をつけるという活動をずっと続けているうちにお店でお客さんから「真由美さんのブログ参考にさせてもらっています!」と声をかけてもらったのが、本当にすごく嬉しかったです。その当時そんなことをしている人は私くらいしかいなかったんでしょうね。

夏輝:そこで“マクロビ・ビーガン”にどハマりしたのに拍車がかかったんですね。

真由美:一日一軒くらい通っていましたね。お店開拓を始めて1年半くらい経ち350軒くらいになっていた時、周りの人から「真由美ちゃん本出したらどう?」と言われるようになって。「普通に生きてきた人間がどうやって本を出すの?」と思ったんですけど、頼まれたら断れない人間なので引き受けてしまったんですね。

ただ、その当時は本を作ることって今よりもすごく大変なことで、「それって需要あるんですか?」とほとんどの出版社に門前払いをされてしまいました。その時は本を出版することはできなかったのですが、2011年に東北大震災があってその時からより一層食の安全・安心が求められるようになりまして。そしたら出版を断られた会社から連絡が来て「出版しましょう」と。

夏輝:それで“東京ダイエットグルメ ~食べて安心、キレイになる”が出版されたんですね!

真由美:業界の中ではマクロビオティックやビーガンが知られるようになりました。ただ、未だにマクロビオティックというと「自然食で茶色くて質素で美味しくないでしょ?」「病人食でしょ?」というイメージを持たれてしまいます。なんでこんなにいいものなのに情報をシャットダウンしてしまうんだろう、勿体無いなと。

2.ニューヨークのドーナツ屋さんとのご縁

夏輝:現在真由美さんはビューティーフード協会代表として「食の大切さ」を発信していますが、この協会を立ち上げるに至った経緯はどのようなものなのでしょうか?

真由美:2011年に日本に上陸したニューヨーク発のドーナッツショップ「DOUGHNUT PLANT」の会社の社長さんとご縁があり「真由美ちゃん商品開発してみない?」と声をかけてもらったことがきっかけですね。

夏輝:「DOUGHNUT PLANT」といえば一時期すごく流行っていた「東京焼きドーナツ」のお店ですよね!

それで商品のパッケージに真由美ちゃんの名前も載せるから「肩書き作って」と社長に言われまして「肩書きなんて持っていないし、どうしよう…」と悩みました。その時コラボドーナツの名前に“ビューティー”とついてるので「真由美さんの肩書きに”ビューティー”つけましょう」ということで“ビューティーフード”となり、その当時なぜが“OO研究家”というのが流行っていたので「ビューティーフード研究家…!?」となり私の肩書きが無事完成しました。

3.自分で体験したことを広く伝える- ビューティーフード協会 –

真由美:「ビューティーフード研究家」という肩書きができて、そのあとにビューティーフード協会を作りました。ビューティーフードとは「身体の中からキレイを作る食」であることを定義付け、マクロビオティックの哲学やヴィーガン・オーガニック・発酵食品・スーパーフードなど、プラントベースで身体に優しいお食事やスィーツを学べる協会となっています。

マクロビオティック・ビーガンが全て、ということを言いたいのではなくて、「あなたの体はあなたが食べているものからできている」ということに気がて欲しかった、不調の原因は全て食にある、と自分が体験してきたことを伝えたかったんですよね。そんな時に、私が受講させていただき人生を大きく変えたマクロビオティックの資格講座事務局の方より、「マクロビオティックの先生やってみませんか?」と声をかけてもらいました。「モデル業やっているから表に立つことには慣れているでしょう」と言われたのですが、実は全然そんなことなくて。マクロビオティックの先生になるということは、全部自分の責任で言葉を発しなくてはいけない、私よりもすごい先生がいる、と最初は尻込みしてしまったものの「まだマクロビオティックを始めたばかりの私だからこそ入り口にいる人たちに伝えられることがある」と思い、自分のできる範囲で場数を踏みながら慣れていきましたね。

写真:ビューティーフード協会主催のVege BBQ、一年に一回開催される

夏輝:真由美さんにもそんな修行時代があったんですね。

真由美:ちゃんと伝えられる人を育てたいなと思って、ビューティーフード協会を立ち上げました。私一人で伝えられることには限りがあるので。個人で料理の先生をやっている方が講座を受けてくださったり、ビューティーフードという世界ができたことで仲間ができていきました。

夏輝:今までどのくらいの人が真由美さんのビューティーフード講座を受けてきたのでしょうか?

真由美:いくつかコースがあるのですが累計で1000人くらいの方が受講して下さいました。ただ、私はビジネス展開が不得意で、想いだけでやってきたような感じです。協会を立ち上げて一年くらい経って、ようやくホームページを解説して窓口を作ったくらいなので。ビューティーフードの生徒さんは本当にみんないい人ばかりで感謝しています。

写真:ビューティーフード協会の料理レッスンは福井でも開催される

【SDGs インタビュー(後編):食について考える”きっかけ”を作る発信をする、“食の伝道師”になるまでの道のり】ーに続く


Author

福永夏輝

SDGs United 事務局
福永夏輝(Natsuki Fukunaga)

立教大学大学院MIB(Master of International Business)卒、"持続可能な発展"をテーマにスウェーデンに1年間留学した後、地元埼玉県で"インバウンド観光と地域ブランド"をテーマに活動を行う。その活動の一環で埼玉県小川町と出会い、現一般社団法人the Organicインターン生として奮闘中。