【国際】FAO、食料・農業分野のSDGs達成はすでに困難な状況。新型コロナでさらに状況悪化
国連食糧農業機関(FAO)は9月15日、国連持続可能な開発目標(SDGs)が定める食料・農業関連の目標の達成がすでに困難な見通しに陥っている上に、新型コロナウイルス・パンデミックで達成がさらに遠のいたと発表した。
今回FAOは、SDGsの目標2「飢餓ゼロ」、目標5「ジェンダー平等」、目標6「水とトイレ」、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標14「海洋生態系」、目標15「陸上生態系」の6つの目標についての現在の進捗状況をまとめた報告書を発行。国連で持続可能な開発目標に関するハイレベル政治フォーラムが2019年に開催された際に、すでにSDGsの目標達成は困難ということが報告されていたが、2020年になってさらに状況が悪化していることがわかった。
同報告書によると、2020年は状況把握にとって不可欠な農業関連の政府統計が大きく滞っており、150ヶ国以上で統計調査の遅延、延期、一時停止が決まっている。FAOは、SDGsの進捗把握のために26指数の集計を担当しているが、今年はほぼ指数が把握しきれない状態となった。特に小規模農家の実態が把握できなくなっている。そのためFAOは、各国政府での統計調査の収集だけでなく、衛星画像データや機械学習モデル等のテクノロジーを活用した新たな測定を推進中。
今回の報告書での主要な内容としては、世界の食料・農業用の植物遺伝資源は2005年の421万種から2019年には543万種にまで増加しているものの、利用されていない野生種の多様性は、不足している状態が続いている。
家畜遺伝情報では、2019年までの十年間で絶滅に備えた遺伝情報保存数が10倍に増えたものの、世界の畜産が関わっている7,600種全体に対してまだ101種にすぎず、目下73%の種が絶滅リスクがあることを鑑みると、大幅に不足している結果となった。
ダイバーシティ観点から、女性の農地保有の状況は依然として少なく、多くの国では女性の農地保有を阻む法規制が存在したままとなっている。女性の土地所有権が確立している国は世界でわずか12%しかないという。
森林と水産資源についても、減少幅が緩やかになったとはいえ、依然として減少傾向のままだった。
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