【イギリス】政府委員会、人種差別・格差の解消で勧告報告書。人種以外の要因も大きいと判明

英内閣府人種格差ユニット(RDU)が設置した人種・民族格差委員会は3月31日、人種差別や格差に対抗するための勧告報告書を発表した。あらゆる人種・民族の社会的格差解消に向け、政府が実行すべき政策をまとめた。

今回の委員会は、2020年夏に発足。科学、教育、経済、放送、医学、警察等の専門家10人で構成され、そのうち9人は全て民族マイノリティから選ばれた。ミッションは、人種・民族に寄って社会的格差を継続させている構造を徹底調査することにおかれた。

調査の結果、英国ではかつては人種差別が格差に大きな影響を与えていたが、現在すでに社会構造は複雑に変化しており、人種だけに着目するのではなく、地理、家族の影響、社会経済的背景、文化、宗教が人種差別よりも人生の機会に大きな影響を与えるようになっていることを掴んだ。しかし、人種差別に関しても現実に存在していることは事実とし、多文化社会を構築することは困難なものとしつつも、委員会の当初の目的に即して、人種差別の解消に向けた勧告を行った。

勧告では、平等人権委員会(EHRC)への資金拠出による司法権力による差別への対抗措置や、福祉品質委員会(CQC)による医療機関でのマイノリティへの検査差別への監督強化、AIアルゴリズムの透明性確保、職場での公平性確保のためのアプローチ開発、インターンの機会創出等を挙げた。特に、公共機関での機会の不平等を率先して正すべきと指摘した。

【参照ページ】The report of the Commission on Race and Ethnic Disparities

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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