【日本】農水省、土地改良長期計画が閣議決定。ICT・ドローン活用、田んぼダム、野菜・果樹転換等を強化へ

農林水産省は3月23日、2021年度から2025年までの「土地改良長期計画」が閣議決定されたと発表した。同計画は、土地改良法に基づき農地の長期的な計画を示したもの。

今回の計画では、少子高齢化・人口減少、農地面積の減少・耕作放棄地の増加、大規模自然災害の頻発化・激甚化、貿易自由化への対応、国連持続可能な開発目標(SDGs)の実現等の問題を視野に入れ、農業の成長産業化やレジリエンス強化、農村の振興を3つの政策課題とし、合計5つの目標を設定した。

まず、担い手への農地の集積・集約化、スマート農業の推進による生産コスト削減を通じた農業競争力の強化。基盤整備完了地区(水田)における担い手の米生産コストの労働費が一定程度43まで低減している地区の割合を約8割以上にまで引き上げるとともに、基盤整備着手地区において、スマート農業の実装を可能とする基盤整備を行う地区の割合を約8割以上にする。

2つ目は、野菜や果樹などの高収益作物への転換、産地形成を通じた産地収益力の強化。基盤整備完了地区において、事業実施前後で高収益作物の生産額が一定程度増加している地区の割合を約8割以上にする。

3つ目は、所得と雇用機会の確保、農村に人が住み続けるための条件整備、農村を支える新たな動きや活力の創出。再生可能エネルギー導入では、土地改良施設の使用電力量に対する農業水利施設を活用した小水力等再生可能エネルギーによる発電電力量の割合を約4割以上にし、地域による農地・農業用水等の保全管理が実施される農地のうち、持続的な広域体制の下で保全管理される割合を約6割以上にする。

4つ目は、頻発化・激甚化する災害に対応した排水施設整備・ため池対策や流域治水の取組等による農業・農村の強靱化。 防災重点農業用ため池における防災対策着手の割合を約8割以上に、田んぼダムに取り組む水田の面積を現在の3倍以上にする。

5つ目は、ICTなどの新技術を活用した農業水利施設の戦略的保全管理と柔軟な水管理。更新が早期に必要と判明している基幹的農業水利施設における対策着手の割合と、更新事業(機能向上を伴う事業地区を除く)の着手地区においてストックの適正化等により維持管理費を節減する地区の割合を100%にし、完遂する。ドローン等のロボットやICT等も活用しつつ、施設の点検、機能診断、監視等を通じた計画的かつ効率的な補修・更新等を行っていく。

【参照ページ】土地改良長期計画の策定について

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

関連記事

SHARE