【国際】G7コーンウォール・サミット2021、共同声明採択。パンデミック、気候変動、生物多様性等で合意

G7コーンウォール・サミットが、6月11日から13日まで英コーンウォールで開催。最終日の13日には、パンデミック対策、環境、人権等の全70項目にも及ぶ共同声明を採択した。また別途、「カービス・ベイ保健宣言」「G7 2030自然協定」「G7 2021オープンソサイエティ声明」「G7 2021研究協定」の4つも採択した。今回のG7サミットには、韓国、オーストラリア、インド、南アフリカの首脳も出席した。

パンデミック対策では、国際的なワクチン配分枠組「COVAX」と、フランス、ドイツ、EU、WHOが2020年に共同発足した国際対策枠組「ACT-A」が国際協力の柱であることを確認した。ACT-Aでは、86億米ドルを拠出して発展途上国へのワクチン調達をすでに支援。また、ワクチンの発展途上国への提供では、COVAXを軸に、2021年までに4.35億回分、2022年末までには8.7億回分の寄付を宣言した。財政支援とワクチン寄付を合わせると、2021年2月に開催された会合以降から2022年末までに新たに10億回分の提供にコミットすることを意味する。G7諸国の累計提供は20億回分となる。6月3日までに世界での累計ワクチン接種回数は、20億回を超えている。

一方、ACT-Aでは、ワクチン以外にも、治療薬、検査薬も含めた支援を行っている。2021年2月の会合以降、参加国の支援コミット額は20億米ドルを突破。パンデミック開始後の累計支援額は100億米ドルを超える見通し。2022年にも活動を継続する考え。

さらに将来のパンデミックに備え、安全で効果的なワクチン、治療薬、検査薬の開発サイクルを現状の300日から100日に短縮するというビジョンも示した。

気候変動では、2050年までのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットし、2030年までに排出量の2010年比50%減にも言及した。さらに各セクター別のロードマップについても盛り込んだ。石炭火力発電については、CCUS(炭素回収・利用・貯留)なしの「Unabated」な石炭火力発電を廃止することを確認し、さらに海外でのUnabatedの石炭火力発電への政府支援も2021年末までに終了することも表明した。政府支援には、政府開発援助(ODA)、輸出金融、投資、金融・貿易促進支援等が含まれる。日本政府は、Unabatedの意味には、CCUSだけでなく、水素やアンモニアの燃料混焼も含まれると解釈することで、同コミットメントに遵守していると説明しようとしている。

また同声明では、G7諸国だけでなく、他の経済大国も同様のコミットをするよう求めていくことで一致。非効率な化石燃料補助金も2025年までに全廃した上で、こちらについても全ての国に同様のコミットを求めた。化石燃料エネルギーへの海外への政府支援も速やかに段階的に廃止することも掲げたが、パリ協定の1.5℃目標と整合性のあるロードマップを示した場合には、例外的に政府支援をすることを許容した。同時に、エネルギー転換で影響の受ける地域や個人のキャリア形成を支援し、ジャスト・トランジション(公正な移行)を進めていくことも確認した。

交通・輸送、工業、不動産、農業についてもセクター毎の方向性を示したが、具体的なスケジュールについては明記できなかった。英国政府が国際議論をリードしようとしている「生物多様性の喪失」についても、2020年以降の国際枠組を確立していく必要性を確認した。

他にも、共同声明は、より公正でより自由な貿易体制の確立、ジェンダー平等に向けた教育での国際協力に24億米ドルの支援、人種やLGBQTI+への差別禁止やインクルージョンに関する内容も盛り込んだ。

今回の共同声明の別の特徴は、中国への対抗意識を明確にしたこと。G7として初めて「台湾海峡」の平和と安定に言及にも言及しており、台湾海峡の問題に関する介入は「内政干渉」と毛嫌いする中国への対立心もみせた。さらに新疆ウイグル自治区と香港の人権問題も批判した。

別途採択された「G7 2030自然協定」では、2030年までに生物多様性の喪失を止め、生物多様性ポジティブの状況へと反転させることを宣言。世界全体で陸地と水系の30%以上を保護区にするという国際政策等をあらためて確認した。

【参照ページ】2021 G7 Leaders’ communiqué: Our shared agenda for global action to build back better

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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