【国際】WHO、新型コロナ変異種で人々に落ち着くよう呼びかけ。COVAXはワクチン20億回分の配分確保

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は12月21日、英国で発症が確認され、その後南アフリカでも発症が確認された新型コロナウイルスの変異種について、人々の過剰な反応を抑えるよう呼びかける声明を発表した。

英国で発見された変異種は、9月にケントとグレーター・ロンドンで採取された検体から10月に初めて検出され、12月中旬から急速に英国内で蔓延したとみられている。現在までに英国内で1,500例以上が確認されており、英国外でもすでにデンマークで約10例、オーストラリア、アイスランド、イタリア、オランダでも1例ずつが確認されている。

一方、南アフリカ政府が12月18日に発表した変異種は英国とは別の変異種。こちらの変異種も南アフリカで過去2ヶ月ほど感染が拡大しているという。

これらに対しアダノム事務局長は、「ウイルスは常に変異している。それが普通で想定通り」と言及。ウイルスの変異そのものは珍しくなく、変異種が発生していることそのものに過渡に反応すべきでないと社会に対し落ち着くよう求めた。

アダノム事務局長によると、英国で検知された変異種は、感染率が高いが、重症化や致死率が高いという証拠はまだない。WHOとしては、科学者たちと研究を進め、変異種の特性に対する理解を進めると伝えた。また最も重要な対策としては、新型コロナウイルス感染症を可及的速やかに抑えることであり、感染拡大を許せば、変異がさらに発生すると述べた。

またWHOは12月18日、新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、新型コロナウイルス感染症ワクチンの国際的な調達・分配枠組み「COVAX」によって、参加190ヶ国で約20億回分のワクチンの配分を実施したと発表した。COVAXを構成しているCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)は、各国とは独立して現在ワクチンの認可審査を行っており、最も有力なものは、モデルナ、ノヴァヴァックス、アストラゼネカ/オックスフォード大学の3種。他にも4種で臨床試験、2種で臨床前開発の段階にある。

配分されたワクチンは、早ければ2021年第1四半期に、遅くとも年の前半にワクチンは到着する見込み。低・中所得の9ヶ国には、13億回分以上が配分される。しかし、いずれのワクチンもまだ認可前の段階のため、まずは完成させることが重要となる。

配分されるワクチンは、Serum Institute of India(SII)がアストラゼネカ製もしくはノヴァヴァックス製のいずれかのワクチンを2億回分(さらに追加で9億回分の供給オプションも締結)、アストラゼネカから1.7億回分、ジョンソン・エンド・ジョンソンから5億個、サノフィとグラクソ・スミスクライン(GSK)連合から2億個を調達する。それとは別に、10億回分の優先先買権も確保した。

【参考】【中国】政府、新型コロナワクチンの国際分配スキームCOVAXに加盟。人口均等配分を期待か(2020年10月16日)
【参考】【国際】WHO、新型コロナワクチンの国際分配スキームに172ヶ国が参加意向。9ワクチンが参画(2020年8月28日)

【参照ページ】WHO Director-General’s opening remarks at the media briefing on COVID-19 – 21 December 2020
【参照ページ】COVAX announces additional deals to access promising COVID-19 vaccine candidates; plans global rollout starting Q1 2021

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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