【EU】欧州会計監査院、加盟国での5G導入の安全保障上の懸念で調査開始。EU統一アプローチ重用

EUの欧州会計監査院(ECA)は12月8日、EU加盟国での5G(第5世代移動通信システム)の導入に対し、安全保障上の懸念があると表明し、監査プログラムを正式に発動したことを公表した。サイバーセキュリティやハードウェアが中国の影響を受け、市民社会の安全に懸念がありながら、EU加盟国が統一した政策を導入しないことを問題視した。

EUでは、全加盟国が2020年末までに5Gサービスを導入することを支援しており、2020年にはEU17ヶ国と英国が導入を完了している。5Gサービスの導入が遅れることは、EUの競争力や戦略的独立性を低下させるとしつつも、安全保障上の懸念にも対処する必要があるとの考えを示した。特にECAは9月、加盟国の重要インフラで、中国企業の5G通信設備を使うことに安全保障上の懸念がないかを十分チェックすべきとの報告書もまとめている。

5Gは、超高速インターネットが可能となり、特にIoTの急速な進展が期待されている。欧州委員会は、自動車、医療、輸送、エネルギーを5G導入の戦略分野と位置づけており、加盟国内で新たに230万人の雇用創出を展望。年間の経済効果は1,130億ユーロ(約14兆円)と見立てている。しかし、5G関連の特許技術は、中国のファーウェイ(華為科技)が16%、ZTE(中興通訊)が10%、サムスン電子14%、LG12%と、中韓企業で過半を占め、欧州企業ではノキア11%、エリクソン7%に留まっている。

ECAは2016年から、ドイツ、スペイン、ポーランド、フィンランドの4ヶ国を対象に、サンプル調査を実施中。但し同調査には、一部で懸念が広がっている人体や動物への健康被害の内容は含まれていない。

こうした背景から、ECAは今回、5Gに対するEUでの統一的な政策アプローチが必要とし、欧州委員会から加盟国への支援、EUとしての5G導入、加盟国の5G導入に関する安全保障上の懸念に関し、公式調査を開始するとした。

【参照ページ】EU auditors scrutinise 5G security in Europe

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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