【アメリカ】バイデン大統領、ミャンマー軍政への経済制裁発動。軍関連企業も対象。同盟国にも協調要請
米ジョー・バイデン大統領は2月11日、2月1日にミャンマーで発生した軍政によるクーデターへの対抗措置として、国軍、国軍指導者個人、国軍関連企業に対する経済制裁を発動する大統領令に署名した。軍政が政治を民主化するまで続ける模様。日本企業の中にも、人権方針や行動規範の中で、経済制裁先との取引を禁止することを決めている企業もあり、事態は新たなフェーズに入ってきた。
【参考】【ミャンマー】国軍、クーデターで政権掌握。米政府は制裁復活も示唆。日本大使館は自宅待機奨励(2021年2月2日)
【参考】【ミャンマー】キリン、ミャンマーの軍関連企業との提携解消を表明。人権方針に抵触(2021年2月5日)
同大統領令は、ミャンマー軍によるクーデターを民主主義の観点から容認できないとした。経済制裁の対象は、個人としては国軍指導者10人、国軍関連企業としては3社を特定した。10人の中には、ミン・アウン・フライン最高司令官、ソー・ウィン副最高司令官、その他国防治安評議会のメンバー6人も含まれる。経済制裁は指定された10人の配偶者と子供にも適用される。企業では、Myanmar Ruby EnterpriseとMyanmar Imperial Jadeの2社は指定が公表された。
さらに同大統領令では、商務省の措置として、国軍及びその関連法人へのセンシティブな物品の輸出を制限することも発動。追加の規制措置も検討するとした。また、国軍指導者が持つ合計約10億米ドル以上の米国内資産も凍結した。
バイデン大統領は、米国が発動した経済制裁に対し、国際社会にも協力を要請。民主主義と法治を取り戻さなければいけないとした。そのため、米国の同盟国、パートナー国、志をともにする国に対し協調を求めた。すでに国連安全保障理事会からは非難声明が出ており、2月12日には国軍による人権侵害に監視、国連人権理事会も開催される。すでにバイデン大統領は、インドのモディ首相、中国の習近平国家主席とも会談を行った。
また、開発援助の点でも、ミャンマー政府を資することになる支援プログラムの凍結を発表。但し、ミャンマー国民を直接支援する医療やNGOへの支援、及びロヒンギャへの支援は継続する。実際に今回の大統領令では、米国債開発庁(USAID)のミャンマー政府への支援4,240万米ドルを、企業はNGOへの支援に振り返ることを決めた。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Actions in Response to the Coup in Burma