【ミャンマー・ウガンダ・パキスタン】SNS企業多数加盟のGNI、ネット人権侵害で政府を批判

表現の自由・プライバシー保護推進の国際イニシアチブ「グローバル・ネットワーク・イニシアティブ(GNI)」は1月下旬から2月上旬にかけ、ミャンマー、ウガンダ、パキスタンで発生している当局による表現の自由抑圧に対し、重大な懸念を表明した。政府とオンラインコミュニティの関係を巡る、新たな政治問題が多発している。

GNIは、インターネット環境での表現の自由やプライバシーの分野で活動している国際NGOで、企業も多数加盟している。主要加盟企業は、マイクロソフト、グーグル、フェイスブック、エリクソン、ノキア、LINE、BT、ボーダフォン、ベライゾン・メディア、テレフォニカ、オレンジ、BNPパリバ・アセット・マネジメント、BMO、カルバート等。NGOからも、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)、R3D等が多数加盟している。

GNIは、ミャンマーについては、2月9日に声明を発表。2月1日にミャンマーで発生した軍事政権によるクーデターにより、国営テレビ放送と国営ラジオ放送、電話通信やインターネットアクセスが中断したことを重大事案を表明。通信環境は2月3日夜に復旧したが、フェイスブックへのアクセスは2月7日まで遮断された。GNIはこれらを表現の自由及び言論の自由の簒奪であり、経済的にも悪影響を与えたと批判した。

GNIは、国連総会、国連人権高等弁務官事務所、国連安全保障理事会、国連ミャンマー担当特使が進める民主化を支持することを明確に表明した。

ウガンダに関しては、2月5日に声明を発表した。ウガンダ通信委員会(UCC)は、総選挙前の1月13日、インターネットサービスプロバイダー(ISP)に対し、2013年ウガンダ通信法を根拠法とし、一時的な「インターネットゲートウェイの運用の停止」を実施するよう命令。これにより国内では一斉にインターネットへのアクセスが遮断された。

実際の遮断は政府発表よりも前倒しで実施され、1月9日からはGoogle PlayとApp Storeへのアクセスが遮断。1月11日までにフェイスブック、ツイッター、インスタグラム、WhatsAppへもアクセスできなくなった。総選挙後にインターネットへのアクセスは復旧したが、政府は、SNS、APPストア、YouTube、GitHub等へのアクセスを無期限停止。1月21日に政府は、遮断を回避しSNSを使用したユーザーは逮捕のおそれがあると警告を発した。GNIは、表現の自由やインターネットにアクセスする権利を侵害していると批判した。

パキスタンに関しては、1月29日に声明を発表した。パキスタンは2020年11月に、違法オンライン・コンテンツ削除・ブロック・ルールを布告。政府に対し、コンテンツを恣意的に削除することや、ユーザーデータを強制的に政府に共有させることをICT企業に命じる権限を与えた。GNIは、同ルールを表現の自由とプライバシーの侵害と批判した。

【参照ページ】Concerns About Network Disruptions and Restrictions on Freedom of Expression in Myanmar
【参照ページ】Statement: Internet Shutdowns in Uganda Erode Citizens’ Enjoyment of Basic Human Rights
【参照ページ】GNI Expresses Serious Concern Regarding Recent Content Regulation Efforts in Pakistan

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