【国際】ICMA、林立するタクソノミーを整理。グリーンボンド原則との整合性課題も指摘
国際資本市場協会(ICMA)は5月18日、サステナブルファイナンス分野での、気候変動関連タクソノミーの動向を俯瞰したレポートを発行した。ICMAは、グリーンボンド原則(GBP)とクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(CTH)を運営しており、今回、タクソノミー策定機関に対するICMAの要望を伝えた。
同レポートは、EUタクソノミー、中国タクソノミー、マレーシア・タクソノミー等の政府策定タクソノミーや、気候債券イニシアチブ(CBI)、国際標準化機構(ISO)で策定中のタクソノミーと等を整理。その上で、ICMAのグリーンボンド原則(GBP)との関係性や、課題、タクソノミー策定機関への提言を行った。
今回のレポート発行に先駆け、ICMAは3月、タクソノミー策定の国際動向について、発行体や機関投資家向けに、状況を整理したレポート「Usability of taxonomies and nomenclatures for the Green, Social and Sustainable Bond markets」を発表している。同レポートの中で、ICMAは、現状として、タクソノミーでは、事業活動や製品分野のグリーン度合いを定義する「ノーメンクラトゥーラ」と、グリーン性が認められるプロジェクトのみを定義する「タクソノミー」の2種類があると分析。発行体と機関投資家に向け、こらら2種類の違いをよく理解した上で、参照するよう促した。
今回の発行したレポート「Overview and recommendations for sustainable finance taxonomies」は、前回のレポートの続編と呼べるもので、各タクソノミーの内容を詳述しつつ、課題を提起した。特にEUタクソノミーについては、ICMAのグリーンボンド原則は、プロジェクト単位で資金使途を設定を行うことを求めているのに対し、EUタクソノミーは発行体の事業活動に焦点を当てており、混乱がみられるとした。EUは、事業活動分類をプロジェクトに適用するガイダンス「Usability Guide」を発行しているものの、整理が必要になっていくとの課題感も示した。
ICMAによると、現在、様々な政府から、タクソノミーの策定について意見の照会を受けているという。ICMAとしては、混乱のないタクソノミー策定を各国の策定機関に要望したい形。今回、タクソノミー策定の提言として、「目的を明確にすること」「既存のタクソノミーを極力参照すること」「金融機関のユーザビリティを考慮すること」「タクソノミーと関連するTCFD等の他のスタンダードとの整合性を考慮すること」「気候トランジションを促すものであること」の5つを伝えた。
【参照ページ】ICMA publishes overview of ‘taxonomies’ for sustainable finance and recommends success criteria
【参照ページ】Usability of taxonomies and nomenclatures for the Green, Social and Sustainable Bond markets
【参照ページ】Usability Guide