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【イタリア】グッチ、リジェネラティブ農業へ転換。スコープ3も全量オフセット。自然ポジティブへ

【イタリア】グッチ、リジェネラティブ農業へ転換。スコープ3も全量オフセット。自然ポジティブへ 1

アパレル世界大手イタリアのグッチは1月27日、長期的気候変動戦略「ネイチャー・ポジティブ気候戦略」を発表した。将来的な二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)のため、再生可能エネルギー、リジェネラティブ農業、サーキュラーエコノミー、マングローブ再生等を柱とする戦略を打ち立てた。

グッチは、仏ケリングの傘下ブランド。ケリングは、アパレル大手の中でも早くからサステナビリティへと舵を切っており、傘下のグッチとしても野心的な目標を掲げた形となった。グッチは、2018年に自社事業でのカーボンニュートラルをすでに達成。さらに2025年までに2015年比でバリューチェーン全体での二酸化炭素排出量を50%削減することを目標として設定。加えて、バリューチェーン全体での二酸化炭素排出量、水消費量、大気・水質汚染、土地利用、廃棄物排出のインパクトを「環境損益計算書(EP&L)」として位置づけ、マネジメントを行っている。

今回発表の「ネイチャー・ポジティブ気候戦略」では、サプライチェーン全体の二酸化炭素排出量削減と、自然環境を活かした二酸化炭素吸収の双方を展開し、「ネイチャー・ポジティブ(自然ポジティブ)」な状態を創り出す。特に吸収の手法については、「自然気候ソリューション・ポートフォリオ」と命名した。

二酸化炭素排出量の削減では、2022年までに再生可能エネルギーを自社施設に100%導入し、サプライヤーにも切り替えを求めてにいく。また、タンニング(皮なめし)での金属フリー、端材の削減、端材のアップサイクル型リサイクル「Gucci-Up」を通じた省エネと廃棄物削減も展開し二酸化炭素排出量を年間3,000t削減。

さらに、サーキュラーエコノミー化として、ナイロン、コットン(綿花)、カシミヤ、ポリエステル、貴金属、プラスチック、包装・容器の素材生産では、リサイクルされた再生素材の含有量を増やし、二酸化炭素排出量を1.3万t削減。「Gucci Circular Lines」の新コレクションとして「Gucci Off The Grid」を立ち上げる。中古ラグジュアリーブランド委託販売米RealRealとも協働し、廃棄物削減を加速させる。コットン調達では、サステナビリティ調達割合を2025年までに100%にし、年間で17.9万tの二酸化炭素排出量削減を目指す。

そして、「自然気候ソリューション・ポートフォリオ」では、まず、原材料生産のリジェネラティブ農業への転換では、国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)、サウスポール、ネイティブと協働でのフィジビリティ研究を実施。スケールできる農法を追求する。また自社調達分以外についても、農家に対しリジェネラティブ農業への転換を促していく。例えば、ネイティブは、ウール(羊毛)と皮革(レザー)の生産での牧草生産で3,075ヘクタールのリジェネラティブ農業を展開しており、今回同プロジェクトにグッチも資金拠出する。これにより今後5年間で二酸化炭素を約2.5万t地中に吸収できる。

リジェネラティブ農業では、最終的に面積を3.2万ヘクタールにまで拡大することを目指す。実現すると20万tの二酸化炭素を父中に吸収できるという。これにより、人工的な化学物質に依存した農業を、リジェネラティブ農業に転換する動きを世界的にリードしていく。

続いて、削減しきれず排出された二酸化炭素排出量については、自然ソリューションでのオフセットを行う。現在、同社のバリューチェーン全体での二酸化炭素排出量は、スコープ3まで含めて136.9万t。これを全てオフセットするため、119.5万ヘクタールの森林保全や生物多様性保全を行う。具体的には、サウスポールが展開しているケニアのチユル・ヒルズでの「REDD+」認定プロジェクトや、ジンバブエ・カリバの「REDD+」認定プロジェクトでオフセット。また、サウスポールが展開するホンジュラス・ムスキタの「ブルーカーボンREDD+」認定のマングローブ再生プロジェクトも活用する。

グッチの親会社ケリングは1月28日、別途、コンサベーション・インターナショナル(CI)との間で、「自然のためのリジェネラティブ(再生)ファンド」を創設し、今後5年間でアパレル原材料生産地100万ヘクタールのリジェネラティブ農業化プロジェクトを発表。ケリングは、2025年までに生物多様性への影響をポジティブに転換する目標を掲げ、リジェネラティブ農業地とは別に、サプライチェーンの外側に広がる自然100万ヘクタールの保護も発表済み。今回の発表で生態系保全を200万ヘクタールで展開することとした。

同ファンドは、農家やNGO等のステークホルダーへの支援金として寄付。すでに第1ラウンドの募集を開始している。締切は4月30日。

【参照ページ】GUCCI UNVEILS NATURE-POSITIVE CLIMATE STRATEGY
【参照ページ】Kering and Conservation International launch Regenerative Fund for Nature

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