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【イギリス】住宅省、自治体に未利用・無計画の公有地を強制売却対象に。住民やコミュニティに「再生権」

英住宅・コミュニティ・地方自治省は1月16日、活用されていない公有地を、地域住民やコミュニティが再開発することを容易にする政策を発表した。地方自治体が公有地を所有するためには、用地計画を立てる必要があり、計画がなければ強制的に売りに出される。

英イングランド地域では、1980年に公有地の「同意権」制度が導入され、住民が地方自治体所有地に売却を要求できる権利が確立。さらに2011年には「コミュニティ土地再利用権」制度でも「同意権」制度が確立していた。しかし2014年以降、同意権による売却要求は192件にとどまっており、実現したのはわずか1件。要求が却下された理由は、自治体が当該の土地を活用する将来計画があるとの主張だったが、実際にはその後も何年も土地は活用されないまま放置されていた。今回の権利は、同意権をさらに強化する狙いがある。

今回発表の新制度案は「再生権」と命名され、公有地を地域社会が望む形へ転換し、地域活性や地域の価値創出につなげるもの。具体的には、まず、地方自治体が管理している未利用の土地に関しては、現在の管理者がその土地を利用する計画を立てる「再生権」が一義的に認められる。そして管理者がその土地を利用する計画がない場合には、その土地は強制的に売りに出され、周辺住民や地域コミュニティが市場価格で購入できるようになる。特に当該土地の売却を求めた人には、優先交渉権が与えられる。

同省によると、自治体所有の空き家が25,000軒、自治体所有の空きガレージが10万軒もあるという。今回の制度は、自治体が未利用地を十分に活用し、供給不足に陥っている住宅への転換を進めることを促したい思惑もある。

同制度案については、3月13日までパブリックコメントを募集する。

【参照ページ】‘Right to Regenerate’ to turn derelict buildings into homes and community assets

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