【アメリカ】ウェルズ・ファーゴ、パリス調査結果発表。米国人の老後貯蓄懸念の高まりに警鐘
米金融大手ウェルズ・ファーゴは10月21日、退職に関する調査の結果、新型コロナウイルス・パンデミックにより、米国人の老後の貯蓄に関する懸念が高まっていると警鐘を鳴らした。同調査は、米調査会社大手ハリス世論調査が8月に行った。
退職するのに十分な貯蓄があると回答した者は、米国の労働者全体で37%、パンデミックの影響を受けた労働者では58%。またパンデミックの影響を受けた労働者の70%は、退職後の資金不足を防ぐ方法について懸念しており、61%は退職後の生活を危惧しており、パンデミックにより同じく61%は退職後の生活の楽しみが奪われたと回答した。
退職後の貯蓄には、性差や職業差が表れており、男性中央値の12万米ドル(約1,250万円)に対し、女性の中央値は6万米ドル(約630万円)。パンデミックの影響を受けた労働者では、男性中央値6万米ドル(約630万円)に対し、女性中央値2.1万米ドル(約220万円)だった。働く女性全体では、51%が退職のために十分な貯蓄をしている、または退職後も快適に暮らせるだけの貯蓄があると回答した一方、パンデミックの影響を受けた女性では、男性と比べ、企業年金へのアクセス率が低く、加入者も低い結果となった。
Z世代の労働者では、早い年齢から貯蓄を始め、企業年金への加入割合も他の世代より高い。しかし、それでも将来への懸念が強く、52%はパンデミックを理由に、退職時に十分な貯蓄ができるか分からないと回答。50%は、退職後の生活を危惧しており、、52%はパンデミックにより退職後の生活の楽しみが奪われたと回答した。
他方、同調査では、多くの米国人労働者や退職者が、将来に対して楽観的であることも明らかになった。現在の生活に非常にまたは一定程度満足している、また、86%は家計の管理を行っていると回答した労働者の79%。95%は、毎月の出費を支払うことができ、86%は家計の管理に自信を持っているという。有事には友人や家族からの借金なく、1,000米ドル(約10万円)の支払いが可能だと回答した労働者も83%いた。
また退職後の資金について、社会保障だけでなく自己資金による貯蓄へ移行が進む中、退職については、社会保障と医療が重要な役割を担うという認識は強いと分析。パンデミックを受け、労働者全体で71%、ネガティブな影響を受けた労働者で81%、退職者で85%が、その重要性に対する認識を強めたという。労働者は、社会保障が退職後の単月予算の約3分の1を占めると予測。裕福な労働者に限っても、社会保障と医療は老後の生活に大きく影響すると捉えている。
圧倒的多数の労働者は、政府による退職後の支援を望んでおり、労働者の76%、退職者の81%が、大統領候補は退職後の保障に関する問題を最優先すべきだと回答。労働者の88%、退職者の91%が、労働者が年金にアクセスしやすくする必要があると回答した。
【参照ページ】COVID-19 Fuels Uncertainty about U.S. Retirement, Wells Fargo Survey Finds