金融世界大手米JPモルガン・チェースは10月8日、人種平等に向けた新たな長期コミットメントを発表。今後5年間で、アフリカ系米国人とラテン系米国人コミュニティの経済的機会創出のため、300億米ドル(約3.2兆円)規模のアクションを実行する。
同社は、新型コロナウイルス・パンデミックに伴い人種的不平等が悪化したと分析。富の格差は、家計の流動性ひいては、米国経済に悪影響があると指摘した。今回発表のコミットメントでは、インクルーシブな経済回復を促進し、従業員を支援するとともに、人種の障壁を打破に取り組む。
サービスの行き届いていないコミュニティ向けの手頃な価格の住宅と住宅所有の促進
アフリカ系米国人およびラテン系米国人世帯向けに、住宅ローン4万件を組成、80億米ドル(約8,400億円)を投じるとした。住宅ローン商品「Chase Homebuyer Grant」等のサービス改善にも取り組む。また、ローンの借り換えにより、住宅ローン支払い額の減額を支援。アフリカ系米国人およびラテン系米国人2万世帯向けに、最大40億米ドル(約4,200億円)の借り換えを行う。
さらに手頃な価格の住宅(アフォーダブル住宅)提供のための融資も実施。サービスの行き届いていないコミュニティに対し、140億ドル(約1.4兆円)の新規ローン提供や、エクイティ投資を行うとした。低所得者や中所得者向けの住宅建設にも投融資する。
アフリカ系米国人およびラテン系米国人所有の企業の成長支援
アフリカ系米国人およびラテン系米国人コミュニティの中小企業でのデジタル化推進のため、デジタル融資商品を開発、融資件数1.5万件で合計20億米ドル(約2,100億円)分の融資を目指す。貧困地域の起業家向けのデジタル研修や技術支援、資金へのアクセスに向けたプログラム提供等も行う。
アフリカ系米国人およびラテン系コミュニティの経済状態と銀行アクセスの改善
アフリカ系米国人およびラテン系米国人コミュニティでの低コスト型預金口座の開設を支援し、100万人の口座開設を目指す。そのため、コミュニティセンター100ヶ所に支店を開設し、新たにコミュニティマネジャー150人を採用する。
さらに、アフリカ系米国人およびラテン系米国人主導のマイノリティ預金取扱金融機関(MDI)および、コミュニティ開発金融機関(CDFI)に対し、5,000万米ドル(約52億円)の投資や預金をすることで財務支援を行うとともに、事業に関するアドバイスも実施する。
従業員への投資加速と、ダイバーシティ&インクルージョンの促進
今回のコミットメントに関するKPIは、同社の執行役員とその直属の部下の業績評価と報酬決定に組み込まれ、業績連動させる。また従業員に対する金融コーチ・サービスも用意し、経済的苦難を抱える従業員をサポートする。
加えて、アフリカ系米国人およびラテン系米国人向けの寄付も増額した。今後5年間で、インクルーシブな経済回復を推進分野に合計20億米ドル(約2,100億円)を寄付。同社は、2018年にも5年間で17.5億米ドル(約1,840億円)を寄付すると発表していたが、今回期間を延長しつつ増額する形となった。
【参照ページ】JPMorgan Chase Commits $30 Billion to Advance Racial Equity