【SDGs インタビュー】タピオカを飲む全ての人に考えて欲しい、とある女子大生が疑問を投げかける“タピオカブーム”の影
“身近なものからSDGsについて考える”きっかけを作る”SDGs インタビュー”
今回インタビューをさせて頂いたのは早稲田大学政治経済学部3年生の内田愛子さん。彼女が今挑戦をしているタピオカから始めるエコを広げていくプロジェクト、通称“ecoTAPi(エコタピ)”。
タピオカは若者を中心として絶大な人気を誇っており、今ではその勢力を広げて若者だけにとどまらず老若男女に親しまれています。そんなタピオカだからこそ今一度タピオカを飲む全ての人に考えてもらいたい。今回はタピオカを巡るストーリーを通してSDGsについて考えるきっかけを読者のみなさんにお届けいたします。
「タピオカでエコしたいんです!」愛子さんがecoTAPiプロジェクトに挑戦するワケとは?
福永:本日はSDGsインタビューをお受け頂きありがとうございます!早速ですが、愛子さんが現在取り組んでいる“エコタピオカ”プロジェクトとはどのようなプロジェクトなのでしょうか?
愛子:ecoTAPiは、青年環境NGO Climate Youth Japanのもと、タピオカのリユーザブルカップ、ストローの普及を通してプラごみ削減を呼び掛ける活動を、関東、関西を中心とした学生約20人で行っています。現在の活動内容としては、SNS発信を中心とした情報発信、タピオカ店や企業へのインタビューまたはコラボの模索、イベント参加や企画、海外(主にアジア)の若者との意見交換を行なっています。
福永:タピオカを通してエコ実践、今まで考えたこともありませんでした。タピオカを楽しんだ後はそのタピオカのカップとストローを当たり前のようにポイッと捨てていました。これは私に限ったことではなく、タピオカを楽しむ全ての人も同じ状況ですよね。そもそも、どういった経緯を経てタピオカでエコ実践をしようと考えるようになったのでしょうか?
愛子:2018年8月~2019年5月の約1年間カナダに留学をしていたのですが、その時にタピオカ用のマイボトルを購入して使用し始めたのがきっかけです。カナダの大学に留学しているときは週に3回、いや、4回ほどタピオカを飲んでいました。
福永:週に4回!?カナダではタピオカはコーヒー並みに日常生活に浸透しているんですね。
愛子:流石にほぼ毎日タピオカを飲むのはまずいと思ってやめました(笑)そうなんです、カナダではタピオカはいわゆる「インスタ映え」」のため飲み物ではなく、単純にタピオカを飲みたいだけ、オシャレのためじゃなくて生活の一部としてタピオカを飲んでいる感じです。キャンパス内にタピオカのお店が3店舗もあるくらいですからね。
福永:そんなタピオカライフを送っている中、どのようにしてタピオカ専用のリユーザブルカップと出会ったんですか?
愛子:よく一緒にタピオカを飲む友達とたまたまフェイスブックを見ていたらタピオカ専用マイボトルを見つけて、最初は可愛いという感覚だけで買いました(笑)その当時は環境やエコ意識、あまり高くなかったので。そのタピオカ専用マイボトルを持っていくと、ディスカウントをもらえたりマイボトルのサイズが大きいからその分たくさん入れてもらえるなどお得な特典もありました。私はカップと一緒にタピオカ用のステンレスストローも持ち歩いて使っていましたよ。
福永:カナダでのタピオカ専用マイボトルの普及率はどのくらいなのでしょうか?
愛子:カナダでも最近広まるようになってきたのですが、まだそこまで多くの人が持っているわけではないですね。ただ、タピオカに限らずでいうと、ほぼ全員が毎日きちんとマイボトルを持ち歩いている状態です。コーヒーのマグカップもそうですし、飲み物をトラベルマグカップみたいなものに入れてもらったりします。そもそもペットボトルを買う場所がないっていうのもマイボトルの普及率の高さに関係しているかもしれません。
福永:私もタピオカ専用のマイボトル、使ってみたいです!愛子さんはそのマイボトル、日本に帰ってきても使っているんですか?
愛子:マイボトルを持って行くのですが、「マイボトルを使うことができない」と拒否されてしまう場合がほとんどです。日本ではカナダみたいにタピオカが日常的飲まれているわけではなく、タピオカを飲みたくなったときにふらっとお店によって飲むという非計画的なものなので、そもそもタピオカ専用のマイボトルを持ち歩くという行動を消費者に促しにくい。加えて、お店側に対してもプラスチックカップの使用ではなく消費者に対してマイボトルの使用を促進するインセンティブも低い。
なので、タピオカのボトルにもなるし、コーヒーのボトルにもなるし、みたいなものであればみんなもっと使いやすいのではと考えています。
福永:近年の絶大なタピオカブームの裏では大量のプラスチックゴミが捨てられていますし、日本の使い捨てプラスチック排出量は世界二位、G20サミットでも「年間800万トン、ジャンボジェット機5万機分のプラスチックゴミを減らさないと生態系が破壊され、生物が絶滅危機になる」と言われていて、深刻な状態であるということを考えると複雑な気持ちになります。これからタピオカ事情はどのように変わっていくのでしょうか?
愛子:1990年代前半に第一次ブームがやってきて、第二次タピオカブームは台湾タピオカが日本に上陸したことで発生し、またさらにいま第三次タピオカブームがやってきています。以前よりも幅広い年代の方に親しまれているので、今みたいに行列ができるほど人気かどうかは別として、これからもタピオカは私たちの生活に存在し続けると思います。ただ、環境問題の面でタピオカがすごく叩かれていて、「タピオカから環境問題について考える」という記事がネット上に上がっていたり。
ただ、最近はエコな取り組みをしているタピオカ屋さんも出てきています。
福永:そうなんですね!タピオカ屋さんでエコでサステナブルな取り組みをしていらっしゃる所、もしよろしければぜひ紹介して頂きたいです!
愛子:はい、それではまず北海道函館にある”teaser”というタピオカ屋さんを紹介します。このお店はゴミを減らすためにタピオカをガラス瓶で提供しているだけでなく、蓋も全部再利用していて、プラスチックゴミをなくすためにお店で使うシロップも自分たちで手作りしているんです。他にも、持ち帰りの袋も段ボールから作っています。本当にすごく環境意識が高くて素敵なお店です。
もう一つ、juice & tea bar ORIGAMIというタピオカ屋さんで、ちょうど昨日取材に行きました。カップは使い捨てのプラスチックカップを使っているのですが、店頭でステレンスストローを販売していました。店長さんもすごく環境意識が高くい方で「マイボトルを販売したい」とも言っていました。
他にも、有名なタピオカのお店、春水堂も環境意識が高くて、タピオカミルクティー協会を立ち上げ、毎月1回開いているゴミ拾い活動「タピハピRaise」をしています。
福永:一部のお店ではしっかりと環境配慮をした行動をとるようになってきてはいるのですね。ただ、環境に優しいことをしようとするとコストも高くなって、一筋縄ではいかない、そんな状況ですよね。
愛子:タピオカブームに乗じて一攫千金のお店もあると思うので、なかなか難しいですよね。これからの未来を考えるとタピオカのブームはいつかすぎるというのは不可避なので、長期的に日本でタピオカを展開している企業さんと一緒にecoTAPiの活動を続けていけたらと思います。これだけタピオカを好きな人もたくさんいるので。
最終的に行動を変えてくれたらどんな経緯で環境への意識が高まってくれてもいい
福永:このecoTAPiプロジェクトにはどのような方々が興味を示してくれることが多いのでしょうか?
愛子:反応が良いのは意外と年齢が高いんですよね。反対に若者には響きにくいです。環境問題の実感が湧きにくいということもあるのですが。日本のニュースでは「地球温暖化の影響で強力な台風が生まれて日本にやってくる」っていうことも報道しない。だからこそ、私はマイボトルといった側面からアプローチしようと思ったんです。
最初から環境問題を解決するためにやりましょう!というメッセージをダイレクトに押し出すのではなくて、オシャレなものを持ちたいがために、インスタ映えみたいな、そこから環境問題について考えてもらうきっかけになったらいいんじゃないかなと。どんな経緯で環境への意識が高まってくれてもいい、ゆくゆく最終的に行動を変えてくれたらと思います。
福永:愛子さんみたいにタピオカをきっかけに環境問題について考えるようになる人がこれから増えて行くとタピオカのお店・経営層の方の意識も変わっていきそうですね!
愛子:大学内の友達にタピオカを飲むことで大量のプラスチックゴミが生まれるという話をしたら、「愛子の話を聞いてからプラスチックゴミが出ちゃうからタピオカ飲めなくなった」という人もいました(笑)
福永:だんだんとecoTAPiの輪が広がっていくといいですね!今後どんな活動に発展して行くのか、とても楽しみです。最後に、愛子さんから未来のエコタピ実践者へのメッセージをお願いします。
愛子:わたし自身、以前は環境問題にあまり興味がありませんでした。これからの未来を担う若者に環境意識を高めてもらいたいと思うので、今私が取り組んでいるこのプロジェクトを成功させて、みんながもっとエコな生活になったら状況はちゃんと変わっていくんだと思います。
福永:タピオカでエコ!この活動が広がっていくよう、心から応援しています。SDGsインタビュー、ありがとうございました!
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