【マレーシア】プリマス海洋研究所、マングローブ保全でマルチステークホルダー型の活動提唱
英プリマス海洋研究所は9月3日、持続可能なマングローブ保全に向けたマルチステークホルダー型の管理の必要性を提唱した論文を発表した。特に企業との協働の重要性を伝えるとともに、企業をプログラムに巻き込むための要諦も示した。
同研究は、プリマス海洋研究所とマラヤ大学がマレーシアで実施たマングローブ保全プログラム「NetComFish」での調査結果が基となっている。同プログラムは、「UK-Southeast Asia Small Scale Research Partnership 2016」が活動資金を拠出するとともに、自然環境研究会議の「ACCORD project」も支援。論文は、学術誌「Estuarine, Coastal and Shelf Science」に掲載された。
マレーシアは、マングローブ減少率が最も高い国の一つで、年間700haから800ha減少。同国セランゴール州のマングローブは、1990年から2010年の間に22%も減少しているという。また、クラン島およびキャリー島では、1988年に1.9万ha以上あったマングローブが22%減少している。
今回の研究では、水・食料・エネルギーを全体としての系として扱う「ネクサスシンキング」の観点から、マレーシアのクラン島のマングローブ管理を分析。資源と利用者の相互関係を明らかにし、ステークホルダー全体でのマングローブの共同管理の重要性を強調した。
マングローブ減少の主な原因は、都市開発、アブラヤシのプランテーションのための土地転換。その他、侵食、水産養殖、汚染、浚渫、海面の上昇に伴う航行の増加等も一因となっていることがわかった。
研究では、地域コミュニティ、コミュニティ組織、自治体、州政府、企業を巻き込んだ改善活動が重要と指摘し、特に企業に対する問題意識の醸成と、新たなマングローブの経済価値創出が大きな挑戦分野と述べた。解決に向けては、全体を包括する政策の必要性を主張し、今回は論文とあわせて政策提言レポートも発行した。
すでに同研究チームは、後継プロジェクトとなる「NexAMS」の活動資金の調達に成功しており、同地域での活動を続けていく。
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