半導体製造世界大手台湾のTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)は4月1日、今後3年間で工場の生産能力拡充に1,000億米ドル(約11兆円)投じると発表した。同発表は、インテルが3月31日に発表した工場への投資額200億米ドル(約2.2兆円)を遥かに上回る。
TSMCは、2021年単年でもチップ製造の高度化に向け、250億から280億米ドル(約3兆円)を投じる計画を発表済み。背景には、新型コロナウイルス・パンデミックで自動車業界が半導体発注を一時停止していたため、回復に伴う需要増に供給体制が間に合わず、世界中での半導体チップ不足が発生したことがある。
同社は、パンデミックで在宅ワークや在宅学習が増加したことで、PCやタブレット、その他IT設備需要が高まり、恩恵を享受。一方、需要過多に伴う半導体価格の高騰について、顧客に理解を求めた。2021年12月31日からは、ウエハーの値下げも一時停止するという。同社はこれまで、四半期毎に値下げを行ってきたため、値下げの一時停止は稀な判断。
TSMCは、アップル、クアルコム、NVIDIA等向けの世界最大手の半導体サプライヤーとなっており、その他では、UMCや力晶半導体(Powerchip Semiconductor Manufacturing)等の台湾企業も、半導体製造で重要な役割を担っている。台湾半導体大手は、台湾政府からの自動車向けファスト・トラックでのチップ製造要請に応えることにも合意済み。
TSMCは2020年5月、米アリゾナ州での工場の建設に120億米ドル(約1.3兆円)投資。台湾国内でも拠点拡大を進めている。中国・南京や上海、日本でも工場を設立予定。