【国際】WHOと中国、コロナ起源調査報告書を発表。14ヶ国政府は独立性と透明性に懸念表明

世界保健機関(WHO)は3月30日、1月14日から2月10日まで中国で実施した新型コロナウイルスの起源調査に関する調査報告書を公表した。コウモリとセンザンコウから何らかの哺乳類を介して人間に感染した可能性があると指摘した。同報告書に対し、米国等14ヶ国政府は同日、懸念を表明した。

同報告書は、WHOと中国が合同で作成したもの。WHOと中国は2020年7月に新型コロナウイルスの起源を調査するための合同作業を開始。合同作業は、両者の間で、調査のスコープ、原則、実施作業内容、段階的なフェーズアプローチの採用等で合意を得た上で進められる形となった。第1フェーズでは、発生源とみられている武漢での起源を探ることとなった。

WHOは、国際的な学際チームを発足し、中国の学際チームと協働。武漢での現地調査では、WHO、WHOが母体となっているGOARN(Global Outbreak Alert and Response Network)、国際獣疫事務局(OIE)や、各国からの17人のチームと、中国政府が選んだ17人のチームが行動を共にした。国連食糧農業機関(FAO)もオブザーバーとして参加した。

同報告書によると、感染初期については、武漢市場での感染が多かったものの、他の市場や市場以外でも同等に感染があったことから、武漢市場感染源説に否定的な見方を示した。分子疫学や生物情報学のグループは、コウモリとセンザンコウから新型コロナウイルスが確認され、感染経路として強調。しかし、コウモリとセンザンコウからのウイルスは、ヒトに感染しているウイルスと有意に一致はしておらず、間にミンクや猫などが感染した可能性を指摘した。

同報告書は、第2フェーズの調査として、感染経路把握のための生物学的調査を提言。特に、中国国内外のキクガシラコウモリを調査対象として推奨した。

これに対し、米国務省は3月30日、米国、日本、英国、オーストラリア、カナダ、韓国、チェコ、デンマーク、エストニア、イスラエル、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、スロベニアの14ヶ国は、同報告書に懸念を表明すると発表。いかなる介入や妨害を排除した上で、透明性の高い独立調査が必要と指摘。暗に中国政府の介入を排除するよう求めた。第2フェーズの調査についても、独立調査を貫徹するよう、WHO加盟国間で合意すべきと説いた。

【参照ページ】WHO-convened global study of origins of SARS-CoV-2: China Part
【参照ページ】Joint Statement on the WHO-Convened COVID-19 Origins Study

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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