【日本】印鑑事業者、違法と知りながら海外輸出狙いの象牙印鑑販売を実行。2年前より状態悪化
認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金(JTEF)と米NGO環境調査エージェンシー(EIA)は12月18日、日本の地方の印鑑販売店舗の多くが、象牙の印鑑を輸出することが違法であることを知り、さらに購入後海外へ持ち出されることになると知りながらも、進んで象牙の印鑑を販売していることがわかったと発表した。
同NGOは、2018年に三大都市圏の印鑑販売店舗に対して調査を実施しており、2020年に追跡調査を実施。さらに2020年には三大都市圏以外の地域の店舗に対しても調査を実施した。2020年の三大都市圏の調査では、対象100店舗に対し、76店舗が回答。三大都市圏以外の店舗では、150店舗対象のうち89店舗が回答した。
調査の結果では、三大都市圏の回答76店舗は、2018年の時点では、顧客が海外へ持ち出す意図であることを知るや象牙印鑑の販売を拒否していた。しかし、2020年になると、そのうち29店舗(38%)が、同様の条件下で販売に応じる態度に転じていた。東京に所在する41店に限った集計では、16店(39%)が象牙印を売る方向へ態度変更していた。
三大都市圏以外の回答89店舗では、顧客が海外へ運び出す意図であることを知りながら象牙印鑑を売ろうとした店が、81店と圧倒的多数にのぼり、さらにそのうち68店(84%)は、輸出が禁止されていることを知りながら、象牙印鑑を販売していた。
象牙製品の取引については、Eコマース大手では、規制を強化したことで、取引数が激減。その反面、店舗での対面販売がむしろ増えていることが、今回の調査で明らかとなった。
【参考】【日本】WWFジャパン、ヤフーや楽天で象牙製品取引のほぼ全廃を確認。中小での取引増を懸念(2020年12月15日)
JTEFとEIAは、今回の結果から、印鑑事業者の自主的な責任感に任せて販売を続けていくことは難しいと指摘。日本政府に対し、国内象牙市場を閉鎖し、象牙取引とその輸出を禁止する法令を厳格に執行することを求めた。