【日本】電事連、節電への協力呼びかけ。LNG不足と寒波で電力供給逼迫
電気事業連合会(電事連)は1月10日、2020年12月下旬以降、液化天然ガス(LNG)の調達不足に加え、寒波の影響で電力需要が大幅に増加していることを受け、電力需要家に節電を呼びかけた。さらに1月12日には、電力大手の送配電事業者の使用率が100%に近づいていることを伝えた上で、さらなる協力を呼びかけた。その影響で、JEPX(日本卸電力取引所)では、市場価格が通常の10倍以上にも跳ね上がっており、新電力の中で、JEPXに調達を依存しているところからは、かなりの悲鳴が出てきている。
LNG不足の背景には、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、パナマ運河の通関手続きが遅延し、米国のメキシコ湾で取り扱われている天然ガスの日本への輸送が滞っていることや、ガス産出国での生産設備のトラブル等があると言われている。また、ガス火力発電所を保有する大手電力会社では、ガス取引に関し、量と価格の双方の観点から、以前よりも高度な取引スキルが求められるようになっているのも要因となっている。
供給不足に陥らないため、資源エネルギー庁は、大手電力会社に供給増の努力をとるよう要請済み。大手電力会社でも、古くなり休止していた火力発電所をフル稼働させたり、火力発電所の発電機定格出力を超えた運転を行う等の対応を実施。同時に、電力大手各社での広域連携を最大限活用したり、燃料を融通し合ったりして、刻々と変化する状況に周辺の電力会社も対応する事態となっている。同時に高経年化火力発電所の稼働に伴いトラブルの発生リスクや、発電用燃料の在庫が少なくなるリスクが上昇している。
そのため、電力各社は、需要を低減するため、節電の呼びかけを実施している状況。梶山弘志経済産業相も1月12日の閣議後記者会見の中で、電力需要家に対し、「電気の効率的な使用をしてもらいたい」と述べたが、「節電要請ではない」とも伝えた。
気候変動の影響で、感染症リスクや発電リスクが高まる中、以前と同様の電力供給体制ではますます対応ができなくなってきている。供給リスクへの備えでは、世界的に、バッテリーや水素を活用した蓄電強化の方向へと動いてきている。
【参照ページ】電力の需給状況と節電へのご協力のお願いについて
【参照ページ】電力の需給状況と節電へのご協力のお願いについて(続報)