【中国】アパレル業界団体FLA、新疆ウイグル自治区からの調達・生産を禁止。深刻な人権侵害と判断
国際アパレル人権NGOの米・公正労働協会(FLA)は12月23日、加盟している企業に対し、中国・新疆ウイグル自治区での強制労働に鑑み、同自治区での原材料、仕掛品、最終製品の生産及び同自治区からの調達を禁止すると発表した。FLAが特定の地域からの生産・調達禁止を発表するのは、FLAの20年間の歴史の中で今回が初。
FLAに加盟している企業は、Nike、ニューバランス、パタゴニア、アンダーアーマー、ヘインズ、アディダス、プーマ、ヒューゴ・ボス、ネスレ、シンジェンタ、台湾のPou Chen(宝成工業)、香港の金徳(Kingdom Holdings)、Yee Tung Group、マレーシアのFGV等。日本企業はファーストリテイリングが加盟している。
新疆ウイグル自治区の強制労働問題では、FLAは、2019年4月に加盟企業にガイダンスを発表し、強制労働事案を検知するデューデリジェンスの強化を呼びかけた。しかしその後の調査でも、実効的なデューデリジェンスは不可能と判断し、2020年1月にガイダンスを改訂。同自治区では強制労働が蔓延しており、新疆ウイグル自治区で生産された原材料や製品が含まれていないかをチェックする方針に転換した。さらに、中国政府の労働機関が斡旋して就職した中国全土の労働者に関しても、強制労働と推定されるとの判断を下した。
FLAは2020年3月には、理事会から中国政府に対し強制労働や他の人権侵害をやめるよう要求する声明を発表。さらに加盟企業に対しては、新疆ウイグル自治区での生産・調達を見直し、他の生産・調達先を探すようにも発信した。しかしその後も、同自治区では、ウイグル人や他の少数民族に対する深刻な人権侵害、特に強制収容や強制労働が続いているとの報告が、各国政府や研究者から得られたため、100以上の国際NGOの連名で、中国政府に対し人権侵害をやめるよう要求もした。
【参考】【国際】中国ウイグルでの強制労働、各業界が対策声明発表。日本大手11社も関与可能性(2020年3月13日)
その上で今回、新疆ウイグル自治区の人権侵害については、デューデリジェンスという既存の対策では防げないと判断し、全ての生産・調達をFLA加盟企業に対し禁止するよう伝える。