【日本】経産省・環境省合同委員会、廃プラ回収・中間処理で政策方向性を決定。事業者に新たな義務も
経済産業省の産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループと、環境省の中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会の合同会議は10月20日、プラスチック廃棄物削減に向けた政策の方向性をまとめた「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性を踏まえた主な施策」を概ね了承した。今後、具体的な内容を詰め、法制化内容を検討していく。
同会議で議論していたのは、2019年5月に関係省庁で採択した「プラスチック資源循環戦略」を具体化していく政策の骨子。同戦略は、プラスチック廃棄物を削減するための基本原則として、20年前からの「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」に加え、リニューアブル(再生可能)を足した「3R+Renewable」を提唱。Renewableでは、再生プラスチックとバイオプラスチックを位置づけ、3R+Renewableでの期限を定めた定量目標を定めた。その後2020年5月に同合同会議の第1回が会合が行われ、今回方向性が決まった。
今回の方向性では、プラスチック廃棄物の回収と中間処理に大きな焦点が当たった。現在日本では、家庭ごみと、事業系ごみ(一般廃棄物と産業廃棄物の双方)で、回収フローや法規制が異なっており、家庭ごみは市町村、事業系ごみは廃棄物事業者が回収を行っていることが基本となっている。
市町村での家庭ごみ回収については、分別回収をさらに進め、市町村とリサイクル事業者で別々に行ってきた中間処理をまとめて行うことで規模の経済によるコスト削減を狙う。また分別回収を行う市町村にはインセンティブを与えることも盛り込んだ。
また家庭からのプラスチック廃棄物を事業者が回収するという新たなフローも構築する。具体的には、プラスチック製品の製造・販売事業者が、自社のプラスチック製容器包装・製品だけでなく、他社のものも含めたプラスチック資源を家庭から自主回収・リサイクルできるようにし、当該事業者にはインセンティブ等を付与する。
一方、事業系ごみでは、排出事業者に対し、プラスチック資源の排出抑制や分別・リサイクルの徹底、体制整備、情報発信等に関する何らかの義務を設ける考え。排出事業者が、積極的にリサイクル事業者と連携し、自らが分別・排出するプラスチック資源を円滑に高度リサイクルできるようにしていくという。
また回収・中間処理以外では、再生プラスチック素材やバイオプラスチックの促進。再利用可能もしくはリサイクル可能な製品設計を促すため、指針を設定するという。
プラスチック廃棄物削減対策では、世界の国単位では、EUと中国が先行している。今回まとめられた政策も、ほぼEUで策定された政策をそのまま日本にも導入する形となった。しかし、日本のプラスチック・リサイクルにおいて大きな論点となっている「エネルギー回収(サーマルリサイクル)をリサイクルとして扱い続けるか」については、今回は議論を避けた。
【参照ページ】産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 中央環境審議会 循環型社会部会 プラスチック資源循環小委員会 合同会議(第6回)
【参照ページ】「プラスチック資源循環戦略」の策定について