【SDGs インタビュー】(後編) “you are what you eat”室谷真由美さんのVegan Story

4.食について考えるきっかけを作る発信をする

夏輝:Vegan界のスーパーインフルエンサーである真由美さんは情報発信をする際に何か心がけていることなどありますか?

真由美:時代にあったものに寄り添いつつ、その時々に流行っているものを少しずつ取り入れるように意識しています。例えば、発酵食品や塩麹、一年前くらいだとサラダが流行っていたのでサラダ、といった具合に。自分から仕掛けるのはあまり得意ではないのですが、ひたすら発信し続ける、これやってくださいと言われたらやってみるということを続けてきました。知ってもらうことをやっていかないと業界の中で認知されないですからね。

例えば、塩麹が流行った時に、知り合いから塩麹を1瓶もらって使ってみたらその塩麹がすっごく美味しくて。それで塩麹をしばらく使っていたら「塩麹を料理教室でやってほしい」と言われて、そのあと「本を出してみないか」と話しが進んでいきました。でも私は植物性のレシピしかできませんとお伝えしましたが、ご快諾くださり、無事に出版することができたのです。

夏輝:塩麹ってお肉に漬け込んで柔らかくして美味しくいただくというイメージがあるのですが、お肉以外にはどんな使い方があるのでしょうか?

真由美:お塩の代わりとして少し使ってみるというのが基本。ビーガンのスイーツでは隠と陽の真ん中の中庸になるような味付けをするために必ず少しのお塩を入れるので、お塩の代わりに塩麹を入れてみたり。他にもお豆腐を水切りして塩麹につけて何日間か寝かしておくとクリームチーズみたいになるんですよ。味の深みを持たせるために塩麹のような発酵調味料はとても役立ちます。いろんなものがブレンドされていて奥深い味になりますね。

夏輝:マクロビオティックと発酵調味料って相性がいいんですね!

真由美:マクロビオティックではお味噌・醤油麹・醤・塩麹などを使って調理することが多いですね。塩麹を皮切りに発酵食品の講演会に呼ばれたり、発酵食品を使った健康法だったり、日本酒のイベントに呼ばれて「発酵食品のすべて!」と題して語ってみたり。

他にもスクール革命で先生として出てくださいというオファーを頂いた時に出演者の方から「ビーガンって何ですか?」と言われて、説明したら「面白い!」と言われて。「え、お肉食べないの?!9年も食べていないの!?」とビーガンでいじられたんですよね。そういうものを大々的に発信してきっかけを作る発信をすること。入り口はなんでもよくて、肌を綺麗にしたいでも便秘を治したいでもいいんです。

夏輝:真由美さんは本当に良い意味で枠に囚われず多面的に食の大切さについて発信するべくアクションし続けていますよね。

真由美:私がマクロビ・ビーガンを始めた頃はそもそも食べられる場所がない・買う場所がないということが問題だったので、お店とコラボレーションをしたり、メニューの監修に関わったり、飲食店向けのビーガンセミナーも行いましたね。最近ですとインバウンド対応についての相談も受けます。日本の観光地に外国人観光客の方がやってきて、もちろんベジタリアン・ビーガンの方もやってくるけれどどう対応したらいいのかわからない、と。ホテル業界では2020年の東京オリンピックに向けてベジタリアン・ビーガンの対応を早々と取り組み始めて、今ではビーガン・ベジタリアンメニューがグランドメニューとして用意されています。

夏輝:飲食業界、ホテル業界が変わろうとしているからこそ、真由美さんのような専門知識を持った方の力が必要とされているんですね。真由美さんはそういった飲食業界からのオファーだけではなく、学生にも授業をしているとお伺いしましたが、どのような授業をされているのでしょうか?

真由美:「インナービューティーの講座をやってください」と声をかけていただき、現在国際文化理容美容専門学校の全20クラスの生徒に一コマ2時間、160時間かけて約700人に授業をしています。ただ、私が持っている授業で生徒たちに食の大切さを語っても彼女たちは自分の体に不調を感じていないので「ポカン」となってしまうんですね。なので、クラスの初回の授業で彼女たちに一番食べてほしい玄米についてまず徹底的に語るんです。生徒から玄米先生と呼ばれるくらい、こんこんと玄米について語って「こんなにいいことづくしだから、食べたくなるでしょ、玄米?」という風に持っていくわけです笑

写真:真由美さんが受け持つビューティーフードの授業の様子

夏輝:玄米を皮切りにして食の大切さについて伝える戦法ですね。

真由美:話を聞くだけではまだ玄米のよさを伝えきれないので、授業に玄米を美味しく炊区ことのできる専用の炊飯ジャーを持っていき授業をしている間に玄米を炊いて、炊きたてほやほやの玄米を生徒たちに学校の給食のように一口ずつ配ります。そこで初めて玄米を食べた生徒が「あ、玄米美味しい!」と玄米の美味しさにも気がつくわけです。それをきっかけに生徒たちから「玄米食べるようになりました」という声がちらほら聞こえてくるようになるんですよね。

夏輝:真由美さんの玄米愛とその愛ゆえの行動力、まさに玄米先生、玄米の伝道師ですね。でもそのように自分で食べて、体が変わっていくのを感じることで初めて食への意識が芽生える、と。

真由美:玄米の他にも私福井出身なのでマルカワ味噌さんに頼んでオーガニックのお味噌を送っていただき、美味しい味噌玉を作ります。その味噌玉でお味噌汁を作って生徒様に飲んでいただき「本物のお味噌ってダシがなくても美味しいのよ」と。

夏輝:私たちの舌は添加物のものに慣れてしまっているので、本物の味を伝えるという真由美さんの授業での体験は本当に貴重ですね。

5.心も体も満たされる、精神性が整う。

夏輝:これまでビーガン・マクロビオティックで体が健康になるというお話をして頂いたのですが、精神面でも何か変化は生じるのでしょうか?

真由美:精神面もかなり変わります。長野県のある中学校で大塚先生という方が先陣切って給食を和食に変えたというお話はご存知ですか?学校給食を和食に変える前にその学校は荒れに荒れて不良たちが非行を繰り返す毎日。そんな崖っぷちの学校が給食を和食に変えてからいじめ・非行・登校拒否が一切なくなって、生徒たちがみんな図書館に行くようになり学力も上がり遂には長野県でトップの中学校にまでなりました。花壇のお花を引きちぎって撒き散らしていたような生徒が土日も学校に水やりをしにくるまで変わった、と。

夏輝:奇跡みたいな話のように聞こえますが実際のお話であり、それだけ食が私たちの心と体に大きく影響するということですよね。

真由美:食を変えることでいろんなことを気にするようになって、本当の意味で食に対して感謝をするようになります。コンビニで誰が作ったかもわからないような食事と手づくりで想いがこもっている食事とでは全然違います。

夏輝:真由美さんの身近な方で食を変えたことで精神面に変化のあった方はいらっしゃいますか?

真由美:一番身近な人でいうと主人が玄米を食べ始めて変わりました。今から7年ほど前に私が監修したメニューを和食のお店で取り入れるという企画があって、主人が当時そこのお店の料理長だったんです。なのでその企画がきっかけで主人と出会うことになったのですが、その当時の主人は喧嘩しているような怒り具合でヤクザのように周りの料理人に怒鳴り散らしていたんですね。私はすぐ怒って怒鳴り散らす人が大嫌いで私のタイプから一番程遠い、むしろ嫌いな人でした。そんな彼からいきなり告白をされました。告白をされてからものらりくらりと避けていたのですがあまりにも彼の押しが強いので「わかりました友達から」と返事をしたら完全に彼女扱いされるようになりました笑

夏輝:すごい、ドラマのような出会いと展開ですが、そこからどのように旦那様は変化していったのでしょうか?

真由美:私の監修したメニューをお店のメニューに取り入れるという企画だったのでもちろん全部マクロビティックにして頂き、「私玄米信者なので玄米は外せません」と白米の代わりに玄米を使ってもらうようにしたんですね。彼は料理人なので玄米の炊き方から勉強して自分で玄米を食べるようになり、まずそこで2~3ヶ月で12キロ痩せました。

男性は自分が体験すると一直線に突き進んでいくので、お店のまかないとして他の料理人の方にも玄米を食べさせるようになり勝手に玄米の魅力を広めてくれるようになりました。玄米から始まり、私はビーガンのお店に行くので自然と玄米菜食を食べる機会が増えてきて、遂にはあんなに怒鳴り散らして怒っていた主人の攻撃性がなくなりマイルドになったんですよね。

夏輝:つい先ほどの中学校の話に引き続き、本当に奇跡みたいな話ですが現に真由美さんが旦那様とご結婚されているということが“旦那様が本当に変わった”という何よりの証拠ですね。

真由美:性格がだんだん穏やかになって、もともと優しい人だったのでそういうところが見た目にも浮き彫りになってきて。昔の彼を知っている地元の友達が一番びっくりしていました。「お前どうした!!!」って笑。バランスのとれた中庸のとれた食事になっていくほどアップダウンがなくなるということは知っていましたが、食はここまで人を変えるんだなって思いましたよね。

6.ビーガン・マクロビとサステナビリティー の関係性

夏輝:食と心と体の関係について、ビーガン・マクロビの観点からお話頂きましたが、ビーガン・マクロビとサステナビリティー の関係性についてお話いただけますか?

真由美:まず私がマクロビオティック・ビーガンを実践してきてサステナブルだなと感じることは「環境に配慮された食べ方」だということです。「食材を丸ごと使用する」一物全体という考え方があるのでゴミがほとんど出ないんですね。野菜のクズは出汁をとるのに使ったりします。あとは料理をする時に動物性のものを使わないので食器を洗う時に洗剤をほとんど使わなくていいというのもエコですよね。

夏輝:ゴミは出ない、洗い物は楽でエコ、まさにサステナブルですね。

真由美:あと、ビーガンのお店っていち早くサステナブルなことに取り組むんですよね。他にも、動物由来のものを食べないので家畜から排出されるCO2を削減することにも繋がります。今までの話を聞くと「ビーガン・マクロビって素晴らしい!」となりますが、だからと言ってビーガン・マクロビを押し付けるようなことはしません。食は個人の自由ですし、自分がなんでも好きなものを食べていいと思います。ただ、ここまで地球が危機的状態にあったらもっと多方面で多くのことを急いで進めていかなければいけないのでは、とも思いますね。

夏輝:自分の体と心とサステナビリティー を実現するための数多くの選択肢の中に“ビーガン・マクロビ”という選択肢がある、ということですね。それでは最後に「こういうものからビーガン始めたら?」というワンポイントアドバイスがありましたらぜひお願い致します。

真由美:できればみなさんぜひ白米から玄米にしてほしいというのはありますね、私、玄米先生なので(笑)でも、炊き方一つで玄米の美味しさが全く異なるのでまずは美味しい玄米を食べられるお店に行って“本当に美味しい玄米”を味わって頂きたいですね。

夏輝:玄米先生こと真由美さんに選ばれし美味しい玄米のお店、三つ紹介してだけますか?

真由美:たくさんありすぎて迷いますね。わかりました、三つ選びます。まず1店舗目は恵比寿にあるSUMI-BIO。ここの玄米ご飯は本当にもちもちで美味しいです。特に焼きおにぎりがめちゃくちゃ美味しくて、焼きおにぎりとお味噌汁だけでもう幸せ一杯という感じですね。

写真:真由美さんインスタグラムより抜粋

次に2店舗目は下北沢のKLASINAという仕出し・ケータリングのお店。ここの玄米は本当に美味しくてオススメです。もちろん玄米だけではなく、全てがとても美味しいですね。

写真:真由美さんインスタグラムより抜粋

最後にオススメするお店は池尻大橋にあるOlu’olu Cafe(オルオルカフェ)。ハワイアンテイストのお店で、いわゆるジャンクフードと言われる全てのものをビーガンで作っています。これ本当にビーガンなの!?とびっくりするレベル。どれを食べても美味しいので、ここもぜひ行ってほしいお店の一つですね。

写真:真由美さんインスタグラムより抜粋

夏輝:真由美さんの幸せそうな玄米のトークを聞いているだけでお腹が空いてきました。それではまず私が真由美さんのオススメの玄米のお店に行って読者の皆さんに食レポをお届けしたいと思います(笑)本日は真由美さんのVegan Storyをお話頂きありがとうございました!

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Author

福永夏輝

SDGs United 事務局
福永夏輝(Natsuki Fukunaga)

立教大学大学院MIB(Master of International Business)卒、"持続可能な発展"をテーマにスウェーデンに1年間留学した後、地元埼玉県で"インバウンド観光と地域ブランド"をテーマに活動を行う。その活動の一環で埼玉県小川町と出会い、現一般社団法人the Organicインターン生として奮闘中。