【取り組み事例】小川のワイン祭り〜有機の里小川ワイン特区〜

人口およそ3万人、面積およそ60.4k㎡、周囲の外秩父の山々からの豊富な水により、和紙や日本酒などの生産で栄えた歴史をもつ埼玉県小川町。街中には、当時の建造物も残り、古き良き雰囲気が感じられます。

また、平成22年度には、下里地区が第49回農林水産祭天皇杯「むらづくり」部門で天皇杯を受賞。町内の有機農家のもとで研修を積んで小川町内で自立(就農)をする、という流れが生まれてきており、近年は「有機の里」として多方面からの注目を集めています。

さらには、地元酒造3蔵全てが小川町産有機米を使用した日本酒を、豆腐店が下里地区の有機大豆を使用した豆腐を、それぞれ製造・発売するなど、加工飲食品との連携も生まれ始めています。

そんな中、2019年4月27日28日に開催された小川のワイン祭りに合わせて、小川町初のワイナリーがグランドオープンしました。
ワイナリーを開いたのは、2011年より8年間、小川町で完全無農薬のブドウ栽培を行ってきた「武蔵ワイナリー株式会社(以下「武蔵ワイナリー」)」。代表は、武蔵鶴酒造の杜氏も務める福島有造さん。2017年には、小川町は内閣総理大臣より「有機の里小川ワイン特区」の認定を受けました。

そんな武蔵ワイナリーと小川のワイン祭り実行委員会が共に主催する「小川のワイン祭り」は、今回で第5回目。
当日は、国内の16のワイナリー、町内の農家や飲食店がブースを連ね、大賑わいでした。また、多くのボランティアも駆けつけ、開催中はワイナリー見学ツアーや音楽ステージ、福引などのアクティビティーも目白押しでした。

代表の福島さんが掲げる小川のワイン祭りの目標は

  1. 沢山の人に有機の里、発酵の里・埼玉県比企郡小川町に来てもらいたい。
  2. 素晴らしい日本ワインがあることを知って味わってもらいたい。
  3. 食の安心安全について考える機会にしたい。

の3点。

第5回は出店フードも化学調味料や遺伝子組み換え作物を一切使用しないもののみでした。来場者が、この福島さんの目標を体感できる二日間だったのではないでしょうか。

小高い丘の上に立つワイナリーからは、山々に囲まれた小川の田園風景が眺められます。
玄関を入ってすぐの試飲バーカウンターのある部屋は、製造所に繋がっていました。武蔵ワイナリーの無農薬無添加ワイン『小川小公子』はもちろん、小川産無農薬イセヒカリを使用した日本酒「大愚」(武蔵鶴酒造)など購入することができます。

ワイナリーの建物自体も、埼玉県産の木材、ポーチ柱には青石(秩父小川周辺)、天井には手漉きの和紙など、地元の建築資材が取り入れられているそう。ここにも強い想いを感じます。

ワイナリーの隣には、6反のブドウ畑が広がり、テラスで試飲をしながらブドウの育つ様子も見ることができます。8年前から試行錯誤を重ねて栽培されてきたブドウの木々は美しく、圧倒されます。
武蔵ワイナリーでは、ブドウ栽培の作業体験もできるそうです。

このワイナリーでブドウからワインまでの全てが見られるのですから、今後、小川町にワイン好きが集まってくる日も近いのでしょう。
皆さんも是非、お試しあれ!

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